新診断基準によりドライアイが増加

 [新診断基準によりドライアイが増加]

(あなたの健康百科  2018年05月11日)


ドライアイの患者は、日本で2,000万人、世界では10億人以上と推測され、
つらい症状に悩む人はかなり多い。

順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科の村上晶教授らの研究グループは、
2016年のドライアイ診断基準の改訂を受け、新旧の診断基準による患者の
割合について調査を実施。

旧診断基準で「ドライアイ疑い」と診断されていた患者の約80%が、新診断
基準では「ドライアイ確定」と診断されたことを明らかにした。

詳細は、1月30日発行の「Scientific Reports」(2018;8:1918)に掲載
されている。



<旧基準で「疑い」の約80%が、新基準では「確定」に>
ドライアイになると、眼精疲労や眼の痛み、頭痛が出現したり、視力の低下を
自覚したりと、生活の質 (QOL)や業務の生産性が下がることが明らかに
なっている。
原因として、加齢やストレス、デジタル機器の使用時間の増加などが考え
られている。

現代病の1つとして今後も増加が見込まれるドライアイだが、いまだに
確定診断されずに、QOLや生産性が低下したままになっている人も多いのが
現状だ。



一方、これまでの研究から、旧診断基準ではドライアイと確定診断されて
いなかった涙液層破壊時間短縮タイプが、ドライアイの多くを占めることが
明らかになってきた。

このタイプは、ドライアイの自覚症状はあるが、涙の量などはほぼ正常で、
目を開いてから目の表面の涙の膜が破壊されるまでの時間が短い。
そのため、ドライアイの定義および診断基準を見直す必要が生じ、2016年の
改訂に至ったという。


研究グループは今回、2015年11月からの1年半に順天堂医院眼科外来を受診
した250人を対象に、新旧の診断基準の両方でドライアイの診断を行った。

その結果、旧診断基準では、ドライアイ確定38.8%、ドライアイ疑い35.6%、
非ドライアイ25.6%であったのに対し、新診断基準では、ドライアイ確定
66.8%、非ドライアイ33.2%だった。
また、旧診断基準で「ドライアイ疑い」とされた人の79.8%が、新診断基準に
おいて「ドライアイ確定」に割り振られた。


これまでドライアイの診断方法は、世界的に統一されていなかった。
しかし、2016年に改訂された診断基準は、日本だけでなく、韓国や中国の
合意も得られているという。

研究グループは「他のアジア諸国でも、この診断基準を導入することが予想
される」とし、「そうなればアジアでの臨床研究が可能となり、ドライアイの
治療はいっそう進歩するのではないか」と期待を寄せている。


http://kenko100.jp/articles/180511004554/#gsc.tab=0


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