歯周病で認知症の症状が悪化

[歯周病で認知症の症状が悪化!?]

(家庭の医学  2018年4月24日)


<歯周病菌が脳にも影響>
歯周病とは、歯肉などの歯周組織が、歯周病菌によって炎症し破壊される病気
です。
近年、歯周病菌が、糖尿病、脳梗塞、誤嚥性肺炎、早産などと関連している
点が明らかとなっていますが、認知症についても炎症を介した解明が進んで
きました。


認知症の原因疾患のひとつ「アルツハイマー病」。
アミロイドβなど特殊なたんぱく質が蓄積することで、脳内の神経細胞が
壊れ、脳が次第に萎縮していくと考えられています。
しかし、なぜアミロイドβが蓄積するのかについては、明らかとなっていない
のが現状です。


国立長寿医療研究センター、名古屋市立大学などによる研究グループは、
歯周病菌がアルツハイマー病の危険因子となる可能性について研究を進めて
きました。

研究は、アルツハイマー病のマウスに、歯周病の原因菌であるジンジバリス菌
(Pg菌)を感染させるというものです。
Pg菌に感染していないアルツハイマー病のマウスに比べ、認知機能が低下し、
脳内のアミロイドβの沈着が増加するということです。

同研究では、Pg菌に感染することで、血清中や脳内の炎症性サイトカインな
どが増加して、神経・血管にも炎症を起こし、最終的にアルツハイマー病を
悪化させる可能性も指摘されました。


研究グループは、今後Pg菌がどのように脳内に広がっていくのかを解明し、
歯周病によるアルツハイマー病の悪化を抑制できる可能性についても研究を
進めていく予定です。


アミロイドβの蓄積は、認知症を発症する20年ほど前から徐々に始まって
いるといいます。
アルツハイマー病の好発年齢は70歳前後と考えられていることから、50歳
前後からすでにアミロイドβの蓄積は始まっているわけです。

現在はまだアルツハイマー病を完治させる治療法は開発されていません。
しかし、歯周病は治療可能な病気です。
早くから慢性炎症である歯周病対策に取り組んでおくことが、アルツハイマー
病の予防にもつながるかもしれません。


歯周病の症状が出始めるのは、おもに40歳代以降といわれています。
歯科医院での定期的な検査を受けるようにしましょう。
また、忙しい毎日を送っていると、歯みがきも手抜きになってしまいがち
です。
歯ブラシだけでなく、歯間ブラシやデンタルフロスを併用した丁寧な
歯みがきを心がけてください。


最近では歯周の嫌気性菌をレーザーで焼く治療が広がり始めています。
歯周病進行を防ぐ効果が期待されています。


(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125155/


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