目が見えなくても自分でブラインドメイク

[目が見えなくても自分で「ブラインドメイク」…
                    全盲の訓練士誕生、海外で実演]

(読売新聞  2018年4月23日)


目が不自由な女性のための化粧方法「ブラインドメイク」が、人前に出る
自信を取り戻すなど、心のケアにつながるとして注目されている。

日本福祉大(愛知県)研究員で、理容師の資格を持つ大阪市の女性が考案。

全国へ普及させようと民間団体で訓練士の認定資格を作り、今年1月には
視覚障害者を支えるボランティアら10人が認定された。

今秋には化粧法を習得した全盲の女性9人が、シンガポールで体験イベントを
企画している。



<「美しくなりたい」女性なら当たり前の願い…かなえてあげたい>
厚生労働省の調査(2016年度末現在)によると、視覚障害のある人は全国で
約34万人。
女性の場合、化粧がうまくできず、外見などを気にして外出をためらう
ケースが少なくない。

障害者福祉の研究が専門の大石華法さん(52)が「美しくなりたいという、
女性なら当たり前の願いをかなえてあげたい」と2010年に考案した。

パウダーファンデーションは顔の右側は右手、左側は左手でハケを使い、
額から目尻、頬へと左右対称に進める。
口紅は両手の小指の先端につけ、上唇は中心部から左右に広げるように塗る。
下唇は口角から塗るのがコツという。


目の不自由な人が化粧の仕方を覚えるには、10~20時間の訓練が必要だ。
指先で塗りむらなどを感じながら、仕上げることができるという。
目の見え方や視力を失った経緯によって、化粧の指導法も変える。



<おしゃれして外出する機会増えた>
大石さんは2016年に「日本ケアメイク協会」(大阪市)を設立し、北海道や
東京、愛知、沖縄など全国の視覚障害者約200人を指導してきた。
「おしゃれをして外出する機会が増えた」といった感謝の声が寄せられ
た一方、遠方の視覚障害者から「身近で訓練を受けたい」との希望が増え、
協会で「化粧訓練士」の資格を作り、実技の研修も行っている。

静岡市の「さくら眼科」では2016年から、中途視覚障害者の生活の質を
高める指導に取り入れ、スタッフ4人が資格を取得。
松久充子 院長(62)は「視野の一部が欠けても化粧は難しい。指導後は、
表情が見違えるほど明るくなる」と話す。



<意中の男性に告白、結婚決めた全盲女性も>
大阪のある全盲の女性は、大石さんの指導を受けた後、生まれて初めて一人で
上京して意中の男性に告白し、結婚が決まったという。


ブラインドメイクの指導は海外でも実例がほとんどなく、この女性を含む
全盲の有志9人が今年2月に海外に広めるチームを結成。
10月10日、メンバーの知人がいるシンガポールで、化粧の実演や体験談の
発表を行う準備を進めている。
公式サイトで寄付を募り、現地の団体を通じて視覚障害者と、指導法を
学びたい人を各20人程度募集する。

チーム代表で神戸市在住の 常瑠里子さん(33)は「来年以降は中国や韓国、
米国でも開き、指導方法を英語で教えるプログラムの作成も考えたい」と
話している。




https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20180423-OYTET50051/





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