生活習慣の是正がうつ病予防につながる可能性

[「生活習慣の是正」がうつ病予防につながる可能性
               約1万人の日本人を対象としたウェブ調査]

(HealthDay News  2018年4月9日)


うつ病になったことがある人は、そうでない人と比べて肥満や脂質異常症で
ある割合が高く、運動習慣がなく、間食や夜食の頻度が高くて朝食はあまり
取らないなど生活習慣が乱れている可能性が高いことが、国立精神・神経医療
研究センター神経研究所疾病研究第三部長の功刀浩氏、秀瀬真輔氏らと
株式会社ジーンクエストの共同研究で分かった。
うつ病の予防や治療には生活習慣の是正も重要になるという。

詳細は「Journal of Psychiatric Research」2月10日オンライン版に掲載
された。


世界保健機関(WHO)の推計によると、世界のうつ病患者は3億人を
上回り、およそ20人に1人がうつ病を患っていると推定されている。

近年では、うつ病の発症に生活習慣や生活習慣病が影響する可能性が報告
されているが、日本人を対象としたエビデンスは限られていた。

研究グループは今回、うつ病患者とうつ病を持たない対照者の計1万人以上の
成人男女を対象とした大規模なウェブ調査で得たデータを解析し、うつ病の
既往の有無で肥満度やメタボリック症候群の有無、食生活や運動習慣を比較
検討した。

ウェブ調査には成人男女1万1,876人が参加し、このうちうつ病の既往がある
人は1,000人(平均年齢41.4±12.3歳、男性501人)で、残りのうつ病の既往が
ない人(1万876人、同45.1±13.6歳、5,691人)を対照群とした。

心理的ストレスレベルの判定は、精神的苦痛に関するケスラーの6項目
スケール(six-item Kessler scale;K6)を用いて行い、肥満度の基準は
BMIが18.5未満を「低体重(痩せ)」、18.5~25未満を「適正体重」、
25~30未満を「過体重」、30以上を「肥満」とした。
また、参加者には、生活習慣として朝食や間食、夜食の頻度、運動や飲酒の
頻度を尋ねた。

その結果、うつ病の既往がある群では、対照群と比べて肥満者と低体重の人の
割合が高く、適正体重の人の割合は低かった。

また、うつ病の既往がある群では、脂質異常症や糖尿病の患者の割合が有意に
高いことも分かった。

一方で、うつ病と高血圧との間には有意な関連は認められなかった。

生活習慣を比較すると、うつ病の既往がある群では、対照群と比べて間食や
夜食を取る頻度が有意に高かった一方で、朝食を取る頻度は有意に低かった。

さらに、うつ病の既往がある群では中等度~高強度の運動をする頻度が有意に
低かった。


以上の結果を踏まえて、研究グループは「うつ病を予防するためには、適正な
体重を維持し、糖尿病や脂質異常症といったメタボリック症候群関連の生活
習慣病を防ぐほか、きちんと朝食を取り、間食や夜食を控えること、定期的な
運動をするなど生活習慣を改善することが望ましい」と述べている。




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