歯周病と糖尿病の悪い関係

[歯と口の健康アラカルト 歯周病と糖尿病の悪い関係 /大阪]

(毎日新聞  2018年4月4日)


歯周病と糖尿病。
一見、何も関係のないように見えるこの2つの病気が、近年さまざまな研究で
お互いに影響を及ぼし合う悪い関係にあることが分かってきました。

歯周病とはむし歯と並ぶ、口の2大疾患の1つです。

主な原因は歯と歯ぐきの境目の、みがき残しに含まれる歯周病細菌であり、
その歯周病細菌が歯の周りで歯の根を支えている骨を溶かしていく病気です。
重症化すると痛み、歯の動揺、臭いなどの症状が出ますが、初期にはほとんど
自覚症状がないので、放置すれば気付かないうちに進行する怖い病気です。
程度に差はありますが、成人の約8割がかかっていると推計されています。


一方、糖尿病は血液中のブドウ糖が多すぎる状態になる病気です。
そしてこの状態が続くと、まず細い血管や神経に影響が出て、網膜症(放置
すると失明)、腎症(放置すると人工透析)、神経障害等の合併症を、また
太い血管まで影響が及ぶと脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなる怖い病気です。
糖尿病も初期には自覚症状がはっきりとしないため、内科の健診も治療も
受けずに放置すれば重症化しやすい病気です。


2つの病気が、互いに悪い影響を及ぼします。
具体的には糖尿病が重度になると歯周病が悪化し、治りにくくなり、歯周病が
重度になると糖尿病も悪化して治りにくくなります。

しかし、悪い話ばかりではありません。
逆に言えば、今まで改善しにくかった糖尿病が、歯周病治療を受けるることに
より改善することや、糖尿病治療を受けることで歯周病の治療によい影響が
出ることも分かってきました。

現在日本全国で、医科と歯科で連携して糖尿病と歯周病の治療を行う取り
組みも進んでいます。
どちらも自覚症状が出にくい病気なので、中高年以降の方で内科と歯科の
健診を定期的に受けておられない方は、ぜひこの機会に受診されることを
お勧めします。



(府歯科医師会学術部)



https://mainichi.jp/articles/20180404/ddl/k27/070/336000c





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