親指や手首がピリッ! その痛み、スマホのせいかも?

[親指や手首がピリッ! その痛み、スマホのせいかも?
               スマホ世代に増加する手のトラブル(上)]

(日経ヘルス  2018年4月2日)


親指や手首がピリッと痛むことはないだろうか。
それは腱鞘炎。

スマートフォンやパソコンの使い過ぎが影響するが、女性ホルモンが減少する
更年期以降はなりやすい。

気になる腱鞘炎のメカニズムとセルフケア、治療法を3回に分けてお伝え
する。
1回目は腱鞘炎のメカニズムについて見ていこう。


腱鞘炎は、筋肉と骨をつなぐ腱を束ねる「腱鞘」という部分に炎症が起こった
状態。
指や手首の、特定の腱鞘を使い過ぎることが原因だ。

荷物を持つと手首がズキンと痛んだり、痛みで指が動かせなくなったりする
こともある。

腱鞘は腱のさやという漢字の通り筒状で、この中を筋肉の動きに合わせて、
腱が行き来するが、このとき摩擦が生じる。
手を使い過ぎると、摩擦の回数が増え、その負荷で腱鞘が傷つき、炎症が
起きてしまう。

以前はピアニストやスポーツ選手、美容師など、手をよく使う人たちの
「職業病」ととらえられていたが、「最近はパソコンやスマートフォン
(スマホ)を操作する時間が長くなって、腱鞘炎の症状に悩む人が少なく
ない」とアスリートゴリラ鍼灸接骨院の高林孝光院長は指摘する。


腱鞘炎には主に2種類ある。
「ばね指」という指の腱鞘炎と、手首の腱鞘炎の「ドケルバン病」だ。

ばね指は指を曲げる腱と、腱が浮き上がらないように押さえる腱鞘に炎症が
起こる。
「頻繁に指を曲げ伸ばす利き手の親指、人差し指、中指の痛みを訴える人が
多い」と高林院長。


一方、近年アメリカで「スマートフォンサム」として話題になったのが
ドケルバン病だ。
スマホを持ったほうの手の親指で画面をスクロールする、親指でパソコンの
スペースキーをたたくなど、「親指を伸ばして、外側へ広げる動作で痛みを
感じることが多いようだ」と高林院長。

手首を甲側へ曲げる動作や親指を広げる動作が親指の筋肉(短母指伸筋)に
負荷をかけ、痛みが生じることがある(イラスト:三弓素青)

ドケルバン病を疑うときは、まず下のセルフチェックを試してみよう。
右側のチェックで痛みが走り、親指をまっすぐ上に伸ばしたり、親指を外側に
広げて痛むときはドケルバン病の可能性がある。
右側の1~3だけが痛む場合は、ひじの腱鞘に炎症が起きている可能性がある
(イラスト:谷小夏)

一方、四谷メディカルキューブ手の外科・マイクロサージャリ─センター長の
平瀬雄一医師は、「腱鞘炎は手の使い過ぎだけが原因ではない。女性
ホルモンのエストロゲンも発症に関わっていると考えられる」と指摘。

平瀬医師によると、エストロゲンには腱や滑膜(関節を包む膜)の腫れを取る
作用がある。
だから本来、腱鞘炎に至る前にエストロゲンが腫れを抑えてくれるわけだ。

だが「更年期に入り、エストロゲンが減少すると、腱の膨張を抑えられず、
腱鞘炎になりやすくなる」と話す。


(ライター 海老根祐子、構成:日経ヘルス 岡本藍)


(日経ヘルス2018年4月号の記事を再構成)


https://style.nikkei.com/article/DGXMZO27540700R00C18A3000000





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