糖尿病治療薬DPP-4阻害薬で炎症性腸疾患リスク増大

[DPP-4阻害薬で炎症性腸疾患リスク増大/BMJ]

(ケアネット:2018年4月2日)


2型糖尿病患者においてDPP-4阻害薬は、炎症性腸疾患(IBD)のリスク
増大と関連することが、カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami
氏らによる住民コホート研究の結果、明らかにされた。

著者は「結果について再現性があるのかを確認する必要があるが、医師は
こうした関連の可能性があるということを念頭に置くべきであろう」と指摘
している。

IBDのような自己免疫疾患における、DPP-4酵素が及ぼす影響は解明されて
いない。

しかし、低濃度のDPP-4酵素がIBDの疾患活動度を高めることは知られて
いる。

これまで、DPP-4阻害薬とIBD発症との関連を検討した観察研究は行われて
いなかったという。

BMJ誌2018年3月21日号掲載の報告。



<英国14万1,170例の住民コホート研究>
研究グループは、2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬の使用がIBD発症と
関連しているかを、住民コホート研究にて評価した。

700ヵ所以上の一般診療所(GP)が関与している英国の医療関連データベース
(UK Clinical Practice Research Datalink)を用いて、2007年1月1日~
2016年12月31日の間に抗糖尿病薬の服用を開始し、2017年6月30日まで
フォローアップが行われていた、18歳以上の14万1,170例について検討した。

主要評価項目は、DPP-4阻害薬使用と関連したIBD発症の補正後ハザード
比で、使用について全体的な評価と、累積使用期間ごと、および使用開始
からの期間別に、時間依存的Cox比例ハザードモデルを使用して推定評価
した。
DPP-4阻害薬の使用(単独または他の抗糖尿病薬と併用)は時変変数
(time varying variable)としてモデル化し、他の抗糖尿病薬の使用と比較、
また、6ヵ月の遅延曝露を用いてIBDの潜在性と診断遅延について明確に
した。

他の抗糖尿病薬と比較して発症リスクは1.75倍、3~4年使用後がピークで
2.90倍
追跡期間55万2,413人年に、208例のIBDイベントが発生した(粗発生率:
10万人年当たり37.7[95%信頼区間[CI]:32.7~43.1])。

全体として、DPP-4阻害薬の使用とIBDのリスク増大との関連が認められた
(10万人年当たりDPP-4阻害薬使用群53.4 vs.他の抗糖尿病薬使用群34.5、
HR:1.75[95%CI:1.22~2.49])。
HRは、使用期間が長いほど段階的に上昇し、3~4年使用後にピークに達し
(HR:2.90、95%CI:1.31~6.41)4年超になると低下が認められた
(1.45、0.44~4.76)。

同様のパターンは、DPP-4阻害薬使用開始からの期間で評価した場合にも観察
された。
また複数行った感度解析でも、一貫した所見が認められた。




http://www.carenet.com/news/journal/carenet/45768?utm_source=m35&utm_medium=email&utm_campaign=2018040501






No tags for this post.
カテゴリー: だ大腸, と糖尿病(DM), や薬剤・薬学 パーマリンク