たばこ、聴力落ちるリスクも ニコチンが内耳に影響か

[たばこ、聴力落ちるリスクも ニコチンが内耳に影響か]

(朝日新聞  2018年4月2日)


喫煙は耳の聞こえにも悪い影響をもたらすらしいことが、約5万人を対象と
した国立国際医療研究センターなどの調査でわかった。

たばこの煙が音を聞き取る細胞にダメージを与えるらしい。
禁煙すれば、聴力が落ちるリスクは下がることもわかった。

関東などに本社のある8つの企業に勤める20~64歳の男女5万195人に
ついて、喫煙状況を含む2008~2010年の健診データを提供してもらい、
その後に聴力低下が起きていないか、検査結果を2016年春まで追跡した。
この間に約3500人が高音域を、約1600人が低音域を聞き取りにくくなった。

年齢や高血圧、糖尿病の有無などを踏まえて分析すると、たばこの本数が
多いほど聴力低下の傾向があり1日21本以上吸う人は吸わない人に比べて
高音域で1.7倍、低音域で1,4倍だった。

調査時に5年以上禁煙していた人では、聴力低下のリスクは吸わない人と
ほとんどかわらなかった。

ニコチンの毒性や血流の悪化などがもとで、内耳の細胞の働きが落ちると
推定されている。

普及が進む加熱式たばこもニコチンを含むため、内耳の細胞に影響して
聴力低下のリスクを高めると予測される。


聴力は、年齢によっても高音域を中心に徐々に落ちる。

研究チームの溝上哲也部長(疫学)は「昔はジャズ喫茶などでたばこを
吸いつつ音楽を聴くのが一つのスタイルだったが、高音質の演奏を長く
楽しむためにも、禁煙をすすめたい」と話す。


中年期の聴力の低下は、認知症にかかるリスクを高めることも指摘されて
いる。




(編集委員・田村建二)





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