[経口キノロンが大動脈瘤リスク増と関連/BMJ]
(ケアネット 2018年03月23日)
スウェーデン・カロリンスカ研究所のBjorn Pasternak氏らは、スウェーデン
国内の登録データを用いたコホート研究を行い、経口フルオロキノロン系
抗菌薬の使用が大動脈瘤のリスク増加と関連していることを報告した。
フルオロキノロンには、血管壁の細胞外マトリックスの完全性を損なう
可能性のある非抗菌的特性があり、最近の研究でフルオロキノロン系抗菌薬が
大動脈瘤のリスクを増加させる懸念が高まっていた。
BMJ誌2018年3月8日号掲載の報告。
<72万人を対象に、フルオロキノロンとアモキシシリンによる
大動脈瘤/解離の発生を比較>
研究グループは、2006年7月~2013年12月のスウェーデンの全国患者登録、
処方薬登録、統計局ならびに死因登録のデータを用い、コホート研究を実施
した。
対象は、フルオロキノロン系抗菌薬使用例36万88件(78%はシプロ
フロキサシン)と、傾向スコアでマッチングした対照のアモキシシリン
使用例36万88件であった。
主要評価項目は、治療開始から60日以内の大動脈瘤/解離の初回診断
(大動脈瘤/解離による病院/救急部への入院、または大動脈瘤/解離による
死亡)とし、Cox比例ハザードモデルを用いて解析した。
<フルオロキノロン系抗菌薬使用で、大動脈瘤/解離のリスクが66%増加>
治療開始後60日間の大動脈瘤/解離の発生頻度は、フルオロキノロン系抗菌薬
使用群1.2例/1,000人年、アモキシシリン使用群0.7例/1,000人年であった。
両群の大動脈瘤/解離発生推定絶対差は、60日までの治療100万人当たり82例
(95%信頼区間[CI]:15~181)で、フルオロキノロン系抗菌薬使用が
大動脈瘤/解離のリスク増加と関連していることが認められた(ハザード比:
1.66、95%CI:1.12~2.46)。
副次解析の結果、フルオロキノロン系抗菌薬使用に関連するハザード比は、
大動脈瘤が1.90(95%CI:1.22~2.96)、大動脈解離が0.93(95%CI:
0.38~2.29)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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