赤ちゃんの「股関節脱臼」後絶たず

[赤ちゃんの「股関節脱臼」後絶たず 川崎医大調査、見過ごし1歳で1割]

(山陽新聞デジタル  2018年3月22日)


赤ちゃんの脚の付け根の関節が外れる病気「先天性股関節脱臼」を巡り、
診断が遅れて手術が必要な重症者になるケースが県内で依然後を絶たない
ことが、川崎医科大(倉敷市)の調査で分かった。

直近10年間の重症者は、1割近くが健診を経ても1歳まで病気が見過ごされて
いた。

軽症を含めた患者の全体数はこの数十年間で大幅に減ったとされ、専門医らは
「病気に対する認識が薄れている」として知識の普及に力を入れている。


同大骨・関節整形外科の三谷茂教授が、治療に当たってきた県内3病院に残る
重症患者のデータ(1954~2014年で1459人)を分析した。
1歳を過ぎてから診断されたのは、2005~2014年の重症者(119人)の
9.2%に上り、1985~1994年(10.3%)や1995~2004年(11.0%)を含めて
1割前後が続いている。

直近の10年では、3歳でも気づかれていない例もあった。

一方で、重症者の全体数は長期的に大きく減る傾向にあることが判明。
年別に見ると、ピークの1956年は80人だったが、2010~2014年66~10人と
10分の1程度だった。

国内では1970年ごろまで布の三角おむつなどが使われ、股関節が締め付け
られて脱臼が多発したが、その後の予防啓発の効果から患者全体が減ったと
みられている。


「病気が忘れられつつある中で、3カ月健診などで医療関係者も発見できない
まま、歩き始めてから気付くことが少なくないようだ」と三谷教授。

発見が遅れると、脱臼したまま骨が成長し、手術が必要になるなど治療は
難航する。
将来、歩行に支障を来したり、痛みが出たりする変形性股関節症に進行する
危険性も高くなるという。


日本小児整形外科学会などは、健診に携わる助産師や保健師、保護者向けの
パンフレット、小児科医向けの手引を作り、病気への理解を促している。
三谷教授は「地域での啓発を通じ、予防法の普及と健診体制の充実につなげ
たい」としている。



<先天性股関節脱臼>
遺伝的な要因で出生時に脱臼している場合に加え、抱っこの仕方やおむつの
替え方といった生活環境が引き金となり、生まれた後に脱臼することも多い。

重軽症者を合わせた県内の新規患者数は年間230~240人と推計され、男の子
より、関節が柔らかい女の子に多く、男女比は1対9との報告もある。

生後6カ月ごろまでに見つかれば、外来通院などでほとんどが治るとされる。




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180322-00010000-sanyo-hlth



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