一塁到達 ヘッドスライディングの方が速い 立命大分析

[一塁到達、頭からの方が速い 立命大分析、野球の定説覆す]

(京都新聞  2018年3月20日)


打者走者の一塁到達は、ヘッドスライディングより駆け抜けた方が速い-。
野球界で定説とされる考え方を覆す研究結果を、立命館大スポーツ健康
科学部の岡本直輝教授らが学会で発表した。

立命大野球部員を対象に動作分析を行い、ヘッドスライディングする方が
速いという結論を導き出した。
「パフォーマンスを高めるだけなら器械体操の飛び込み前転のような
トレーニングをするのが効果的」と語る。


一昨年、岡本教授が立命大の野球部員ら選手57人と京都・滋賀の高校野球
指導者24人にアンケート調査を行ったところ、選手の80%、指導者の85%と
大半が駆け抜けた方が速いと答えた。
ヘッドスライディングは大けがにつながるリスクもあり、「駆け抜け」を優先
して指導するケースが多い。


岡本教授とゼミ生の4年山岡涼也さん(22)は昨年6月から、高校、大学
時代にヘッドスライディングを経験したことがある立命大準硬式野球部の
部員15人を対象に調査。
本塁から一塁までを走り、トップスピードになる一塁の7メートル手前から、
ベースに触れるまでのタイムを光電管装置と240分の1秒まで撮影できる
ハイスピードカメラで測定した。

1人3回の平均値を比べた結果、ヘッドスライディングの方が速かった選手は
12人、駆け抜けた方が速かったのは3人だけだった。
統計全体でもヘッドスライディングの方が0.04秒ほど早く、距離に換算して
30~40センチの差になるという。

またスライディング動作を解析すると、ヘッドスライディングする方が速い
選手ほど、手を着く場所がベースに近く、踏み切りの足よりも頭が大きく前に
出る傾向が分かった。


一塁へのヘッドスライディングは、塁審へのアピールや味方の士気向上など
非科学的な面で利点を語られることが多かったが、技術があれば有利になる
ことが一定裏付けられた。

3月上旬の京都滋賀体育学会で公表した岡本教授は「けがのリスクとは別に、
高校野球では(無意識に)ヘッドスライディングをしてしまう選手がいる。
指導者はそのための準備をしておくことも必要では」と新たなトレーニングの
導入に言及する。




https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180320-00000040-kyt-spo





No tags for this post.
カテゴリー: こ行動科学, スポーツ医学 パーマリンク