父親由来か母親由来かが大事・・・ゲノムの刷りこみ

[父親由来か母親由来かが大事・・・ゲノムの刷りこみ] (東京医科歯科大学難治療疾患研究所エピジェネティクス分野 石野史敏先生) あなたの体を作る細胞には、ゲノム(DNA)が46本の染色体という形で 入っており、23本は父親由来、23本は母親由来だ。 このうちの22本分は相同な染色体で、同じ位置で対になった2つの遺伝子 (対立遺伝子と呼ぶ)は原則として同じように働く。 対立遺伝子はコピーに近いが、もちろんそのはたらきには優性と劣性の違いが あり、一方の性質が表面化する場合もある。 ところが1984年、哺乳類のゲノムには、父親由来か母親由来かで働いたり 働かなかったりするよう予め記憶の刷り込まれた対立遺伝子が存在することが 発見された。 1991年には、父親から受け継いだ染色体でしかはたらかない遺伝子(PEG) と、母親からの染色体でしかはたらかない遺伝子(MEG)とが実際に同定 された。 普通の生物学の教科書ではこの現象を扱ったものは少なく、まだあまり 知られていないが、これから注目されるはずだ。 あなたの体の細胞の中で一生、父親由来か母親由来かという記憶を持ち続け、 その記憶によってはたらくかはたらかないかがきまる(生物学用語では発現が 制御されている)遺伝子があるということは、哺乳類の個体発生にとって とても重要な現象だからである。 PEGやMEGのことをインプリンティング(刷りこみ)遺伝子と呼び、この 遺伝子の働きによって起きるさまざまな現象をゲノムインプリンティング (ゲノムの刷りこみ)と呼ぶ。 http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/38/research_11.htmlNo tags for this post.
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