ヒルドイド、不適切な使用をしないで

[ヒルドイド、不適切な使用をしないで] (あなたの健康百科  2018年2月22日) <美容に効くエビデンスなし> 皮脂欠乏症などの治療に処方される「ヒルドイド」という医療用保湿剤があり ます。 美容やアンチエイジングを目的に、公的医療保険の適用で入手している人が 増えているそう。 しかし、これが医療費の負担につながり、問題になっているのです。 「ヒルドイド」という医薬品が話題になっていることをご存じでしょうか。 ヒルドイドの有効成分はヘパリン類似物質で、血行促進や保湿、抗炎症の 作用があり、皮脂欠乏症(乾燥肌)、肥厚性瘢痕、ケロイド、打撲による アザの治療などに処方されます。 しかし近年、美容やアンチエイジングを目的に、ヒルドイドを公的医療保険の 適用により安価で入手する人が増えているといいます。 2017年11月、厚生労働省はこのような不適切な使用について問題提起をして います。 厚生労働省の調査によると、1回の受診で25gのチューブ4本分(100g)の 処方がほとんどですが、なかには50本分以上の処方もあったことがわかって います。 健康保険組合連合会(健保連)では、ヒルドイドの不適切な処方によって 年間医療費が93億円使われていると推計しています。 ヒルドイドを美容アイテムとして紹介したり、医療機関で入手する方法を 解説したりする雑誌やインターネットの記事は少なくないといいます。 なかには、「高価な美容液より美肌効果が高い」「公的医療保険で入手すれば 安い」など、読者をあおるような表現もみられるそうです。 では、本当にヒルドイドにこのような効能があるのでしょうか。 現在、美肌に効くという実験結果やエビデンスは発表されていません。 また、メーカーも自己判断で治療以外の目的で使用することは、思わぬ 副作用が発現するリスクがあると注意を促しています。 健保連は、ヒルドイドを単独で処方する場合、保険適用せず自由診療にする ことを提言しています。 しかし、それに対して日本皮膚科学会は、治療を必要とする人が不利益を 被るとして反対しています。 必要な治療薬としてヒルドイドを用いている患者さんにとっては、深刻な 事態といえるでしょう。 抗がん剤の副作用の皮脂欠乏状態、魚鱗癬、アトピー性皮膚炎などによる 皮脂欠乏症の患者さんのなかには「ヒルドイドでないと乾燥やかゆみが 抑えられない」と頼りにしている人もいます。 実際にそのような患者さんは保湿剤が必要なので、健保連が保険の適応を 中止すると、非常に困る状態になります。 まずは、ヒルドイドの不適切な使用を控えることがすすめられます。 また、エビデンスのない美容情報に惑わされないようにすることも大切です。 肌の不調が気になる場合は、自己判断せず、皮膚科医に相談するように しましょう。 (監修:関東中央病院 皮膚科特別顧問 日野治子) https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125029/No tags for this post.
カテゴリー: ひ皮膚科, び美容外科(形成外科), や薬剤・薬学 パーマリンク