歯科治療も原因に? 感染性心内膜炎

[歯科治療も原因に? 感染性心内膜炎]

(家庭の医学  2017年10月23日)


<血液に細菌が入り込む危険>
感染性心内膜炎とは、心臓の内膜や弁膜に起こる感染症をいいます。
まれな病気ですが、死に至ることもある危険な疾患。
いったい何が原因になっているのでしょうか。


感染性心内膜炎の原因は、緑色連鎖球菌や黄色ブドウ球菌といった細菌です。
そのほか腸球菌や真菌などがあげられます。
いずれも、口腔や皮膚、腸内など、どんな人の体にも存在している細菌です。

これらの細菌が、ケガなど何らかの原因によって血液内に入りこむと、血流に
乗って心臓まで達することがあります。
すると、心臓の内膜や弁膜に感染巣をつくりだし、全身のさまざまな場所に
感染を広げていきます。

健康な心臓であれば、内膜・弁膜に細菌が入り込んでも、免疫力が働き病気を
引き起こすことはあまりありません。
しかし、心臓に持病がある、弁膜症などの手術をしている、人工弁を使用して
いるといった人は、細菌がすみつきやすいのです。
また、HIV感染者や糖尿病患者、高齢者など免疫力が低下している人も要注意
です。


主な症状は、発熱、全身倦怠、食欲不振、体重の減少、関節痛など。
かぜと似た症状が続きますが、鼻水や咳などはみられません。
医療機関を受診しても他の感染症と診断されることもあり、抗菌薬を飲めば
一時的に症状が治まります。
しかし、服用を中止すると再び発熱などの症状が現れます。

初期は特徴的な症状がないことから、放置したままでいると、重症化する
おそれがあります。
呼吸困難や不整脈のほか、オスラー結節(手足の指先に現れる痛みを伴う赤い
斑点)、爪下線状出血(そうかせんじょうしゅっけつ/爪の下の出血)を発症
することがあります。

心臓の弁が破壊され心不全を起こすこともあります。
また、心膜や内膜にできた感染巣がはがれ、ほかの臓器にまで流れることが
あります。
これにより脳梗塞や腸管虚血、感染性動脈瘤など、命に関わる重篤な疾患を
引き起こす原因にもなるのです。


治療には、抗菌薬を投与する内科的治療が行われます。
進行状況によっては外科的治療が必要になる場合もあります。
脳梗塞など危険な疾患を防ぐためにも、早期発見、早期治療がとても重要
です。


注意が必要なのは、歯科治療です。
抜歯、インプラントの手術、歯周病、むし歯などの治療がきっかけとなり
発症するケースがあります。


また、内視鏡やカテーテルなど外科的処置で感染することもあります。

心臓病があるなど感染性心内膜炎のリスクが高い人は、歯科や外科で治療を
受ける場合、必ず持病のかかりつけの医師に伝えておきましょう。



(監修:東京医科大学病院 総合診療科 原田芳巳准教授)



http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/124777/





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