ラプンツェル症候群

[Dr. 倉原のおどろき医学論文
              消化管が髪の毛で埋め尽くされていた女の子]

(ケアネット  2017年9月1日)

皆さんはラプンツェル症候群という疾患をご存じでしょうか。
ディズニーの映画で有名になったあのラプンツェルは、グリム童話の中に
登場する美しくて長い髪を持つプリンセスです。
髪の毛が異常に長いキャラクターなので、記憶に残っている人も多い
でしょう。

このラプンツェル症候群は、自分の髪の毛だけではなく他人の髪の毛をも
食べたい衝動に駆られてしまう珍しい疾患で、胃の中に大きな毛玉が形成
されるという特徴があります。
ひどい場合、それが消化管を閉塞させてしまい、いろいろな症状を引き起こし
ます。

5歳の女児が腹痛を訴えて救急外来にやってきました。
彼女はヘモグロビンが4.5g/dLという強度の貧血を起こしており、腹部には
腫瘤を触れました。
詳しく調べてみると、胃から小腸までびっしりと髪の毛の塊が詰まって
いたのです。

ラプンツェル症候群はお察しのとおり、異食症です。
鉄欠乏性貧血のときに氷を食べる患者さんが典型的ですよね。

おそらく、この女の子はもともと鉄欠乏性貧血があり、その異食症として
髪の毛を食べてしまう症状が発現。
そこに胃から小腸の吸収不良によってさらなる二次性貧血を起こし、異食症が
悪化…という悪循環に陥っていたのかもしれません。

女児は手術を受けて、髪の毛の大きな塊は除去されました。
髪の毛って胃の中で溶けてくれるのかと思いきや、そうでもないんですね。
皆さんも髪の毛を食べないように注意しましょう。

え? おまえには抜くほどの髪の毛はないだろうって?
な、な、なんてことを!

http://www.carenet.com/report/series/internal/kurahara/98.html

No tags for this post.
カテゴリー: え栄養医学,  小児科(医科), せ精神科 パーマリンク