歯周病は隠れた糖尿病のサイン

[歯周病は隠れた糖尿病のサイン] (HealthDay News  2017年2月23日) 歯科医から2型糖尿病の疑いがあると言われたら驚くかもしれない。 しかし、歯周病は隠れた糖尿病の徴候である可能性が、新しい研究で 示された。 この研究によると、重度な歯周病をもつ人の5人に1人は2型糖尿病をもち、 しかも患者はそのことに気づいていなかった。 この知見は、歯科クリニックが糖尿病前症や2型糖尿病のスクリーニングに 適している可能性を示唆している。 「口腔内の健康状態が悪化すること、なかでも歯周病の存在は糖尿病などの 疾患の徴候になりうる。糖尿病前症や2型糖尿病を早期に発見し治療する ことは、その後の合併症予防において重要な課題だ」と、研究著者である オランダAcademic Center Dentistry Amsterdam(ACTA)歯周病学の Wijnand Teeuw氏は述べている。 世界中で増加が著しい糖尿病患者は、2010年には世界で2億8500万人と 推定され、2030年には5億5200万人に達するとみられている。 しかし、糖尿病患者の3人に11は自分が糖尿病であることに気づいて いないとされる。 米国糖尿病協会(ADA)によると、糖尿病を治療せずに放置すると、視力 障害や深刻な腎臓病、心臓障害、感染症などさまざまな合併症を引き起こす。 同氏は、歯周病は歯茎に炎症を起こし、歯を支える骨をむしばむ感染症で、 糖尿病の合併症と考えられることも多いと指摘している。 今回の研究は、アムステルダムの歯科医院に来院した313人を対象とした もの。 参加者のうち126人が軽度~中等度の歯周病を、78人が重度の歯周病をもち、 残りの109人には歯周病は認められなかった。 参加者全員のHbA1c値を測定し、糖尿病前症や2型糖尿病の有無を判定した。 その結果、2型糖尿病の診断歴がない人では、重度の歯周病をもつ人の47%が 糖尿病前症で、18.1%が2型糖尿病であることがわかった。 軽度~中等度の歯周病をもつ人では46%が糖尿病前症で、9.9%が2型 糖尿病であったほか、歯周病をもたない人でも37%が糖尿病前症、8.5%が 2型糖尿病であることが判明した。 歯周病専門医でADAのスポークスパーソンを務めるSally Cram氏は、自身の 臨床経験でも多くの患者が糖尿病の存在に気づいていないことを実感して いるとしつつ、「治療しても歯周病が治らない患者には糖尿病の検査を勧める べきだ」と述べている。 同氏によると、血糖コントロールが不良な糖尿病患者でも歯周病を治療すると 糖尿病も改善するケースがみられるという。 米モンテフィオーレ医療センター臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein 氏は、感染症によく罹ったり、治るのに時間がかかるのは糖尿病の重要な 徴候であるとし、「糖尿病と歯周病の関係は両方向で、どちらか一方が改善 すれば、もう一方も改善する」と説明している。 なお、同氏は、この研究は因果関係を証明するものではないと付け加えて いる。 また、Cram氏は、歯科トラブルのほとんどは歯周病であるが、歯を1日2回 磨き、フロスを1回使い、定期的に歯科医の診察を受ければ予防できると、 歯周病予防の大切さを強調している。 なお、歯茎からの出血や歯茎の退縮、知覚過敏、息がくさい、変な味がすると いった症状がみられたら歯周病のサインであるという。 この研究は、「BMJ Open Diabetes Research & Care」1月号に掲載 された。            
歯周病は隠れた糖尿病のサイン
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