コンタクトレンズにバクテリアが繁殖 59歳男性が失明(英)

[コンタクトレンズにバクテリアが繁殖 59歳男性が失明(英)]

(TechinsightJapan  2016年12月6日)


安全性や使用法について、十分注意しなければならないとされるコンタクト
レンズは、日本でも「高度管理医療機器」に指定されている。

コンタクトレンズの使用により失明の危機に陥ったというニュースは度々
報じられているが、このほどイギリスの男性が着用していたコンタクト
レンズにバクテリアが繁殖、左目を失明する悲劇に見舞われた。


英コーンウォール・ウェイデブリッジ在住のアンドリュー・カーシューさん
(59歳)はこれまで5年間、処方されたコンタクトレンズを装着し続けて
きた。
昨年6月、目覚めると涙目になっていたが、当初は結膜炎にかかったと思って
いたという。
ところが翌日の夜に激しい痛みを覚え、明るい光をやけに過敏に感じるように
なった。

アンドリューさんはコーンウォールのトレリスクにあるロイヤルコーン
ウォール病院に行き、診察を受けた。
そこでは単なる感染症だと診断され目薬を処方されただけだった。

ところがその後4週間で症状は悪化し検査の結果、イギリスではコンタクト
レンズ使用者の5万人に1人の確率で起こると言われる「アカントアメーバ
角膜炎」に感染していることが判明した。

アカントアメーバは土壌や川や水道水などの淡水域に広く分布し、人に感染
すると角膜炎やアメーバ性肉芽腫性脳炎を引き起こすと言われる。

目に感染した場合、コンタクトレンズと眼球の間で増殖する傾向にあるため、
水泳やシャワー時にコンタクトレンズを使用する際はリスクが高まるとされ、
常に正しい洗浄法が重視されている。

アンドリューさんの場合は、水道水でコンタクトレンズを洗浄することは
しなかったため、医師はアンドリューさんの手についた菌がレンズに付着
したのだろうと考えている。

「顔半分をぐるりと取り囲んだ歯痛のような痛みだった。目が感染症を起こす
ことが、どんなに(心身を)衰弱させるかなんて想像もつかなかったよ」と
アンドリューさんは英紙『Metro』に語る。

アカントアメーバ角膜炎に感染したと明らかになって以来、アンドリュー
さんは治療を続けたものの効果はなく、発症から約1年後の今年5月に
「左目眼球を摘出する以外に方法はない」という辛すぎる決断を強いられて
しまった。

摘出手術後、6週から8週間は暗い部屋でサングラスをかけて過ごしていた
そうだ。
外出先は病院のみ。
心身ともに衰弱してしまったアンドリューさんは、左目眼球を摘出しなければ
ならなかったことで救急隊員としての仕事も辞めざるを得なくなったという。

アンドリューさんの手術を担当した医師は、過去15年のうちアカントアメーバ
角膜炎で眼球を摘出したのはアンドリューさんが初めてだと述べた。

最初に痛みが始まってから6週間後には左目の視力がほぼ失われてしまった
アンドリューさん。
眼球摘出が決まった時には「徐々に起こったプロセス」だと受け入れることが
できたという。

しかし術後しばらくは、片方の光を失ったという現実に「ひどく落ち込んだ」
とも語っている。


そんなアンドリューさんだが最近では徐々に元気を取り戻し、コンタクト
レンズを装着している人々に警告を促している。
「水泳やシャワーの時でも一切コンタクトレンズはせず、水道水でも洗った
ことがなかった私が、こうして失明する羽目になってしまいました。私の
場合は、菌がついていた手で目をこすってしまったのが原因のようです。
片目を失ってしまった事実はショックですが、眼球を摘出しなければ命が
危なかったことでしょう。みなさんはどうか正しい使用法、洗浄法を常に
心がけてください。私のような感染は稀ですが、実際に起こり得ることなの
です。」


(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)


http://japan.techinsight.jp/2016/12/ellis12051324.html





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