天才サルバドール・ダリの長寿を支えたオリーブ油

[天才サルバドール・ダリの長寿を支えたオリーブ油]

(DIAMOND   2016年11月10日)
(長寿の食卓~あの人は何を食べてきたか~ 樋口直哉/小説家・料理人)


シュールレアリスムを代表する画家、サルバドール・ダリ。
若き頃から数々の作品を世に送り出し、絵画や彫刻作品だけではなくルイス・
ブニュエルと制作した映画『アンダルシアの犬』からおなじみのお菓子
「チュッパチャプス」のロゴデザインまで、その才能は多岐にわたる。

才能ある人物は早世するとよく言われるが、自らを“天才”と表現してはばから
なかった彼は意外にも(?)長寿者だった。


「6歳のとき、私はコックになりたかった」
自伝『わが秘められた生涯』はそんな書き出しからもはじまる。
このことからもわかるように、ダリは食に強い関心を持っており、ついには
料理本『ガラの晩餐』まで出版している。

好物は甲殻類やウニ、カタツムリ、卵といった固い殻を持つもの、反対に
軟らかく形がない食べ物、例えばホウレン草は嫌いだと公言していた。

しかし、好き嫌いは自己演出の一環ではないか。
昼食のカマンベールチーズが溶けている場面から発想した傑作『記憶の固執』
や自伝の中に「玉ねぎつきの兎肉をくれたまえ──暖めなおしたやつだ!」と
言うシーンがあるように(玉ネギはもちろん軟らかい)この好き嫌いには
疑問が残る。
ダリは甲殻類のよろいのように自己をプロデュースすることで、自らの価値を
高めていたので、好き嫌いも自己演出の一環だろう。

確かなことはダリがスペイン・カタルーニャ地方の出身だということだ。
前述のウサギ肉の煮込みもカタルーニャ料理の一つ。
カタルーニャ料理は新鮮な野菜と魚介類、オリーブオイルをたっぷりと使った
地中海料理。
カタルーニャはスペインでもおいしい食べ物が多いことで知られる地方で、
ダリが食に関心を持っていたのも当然だ。


画家には長生きが多い。
ダリやミロ(90歳没)、ピカソ(91歳没)、マティス(84歳没)といった
画家の共通点は地中海沿岸で生活していたこと。

となると長寿の秘密として考えられるのは地中海沿岸の生活環境と食事で
ある。

1つ例を挙げるなら地中海料理の特徴であるオリーブ油だ。
「私はオリーヴ油に情熱を燃やし、あらゆるものにそれを用いた。先ず、
朝早く、鰯を浮かべたオリーヴ油にトーストを浸すことから始まった」
ダリは自伝にもそう記している。

オリーブ油に含まれるポリフェノールには抗酸化作用があり、ビタミンEは
動脈硬化を防ぎ、オレイン酸はコレステロールバランスを整え、便秘解消にも
効果的だ。


ダリは排便に興味を持ちインスピレーションの一つにしていた。
便秘に悩まずに済んだのは小さい頃から慣れ親しんだオリーブ油のおかげ
だったのかもしれない。




http://diamond.jp/articles/-/107424?_ga=2.178852129.465375347.1521505282-400150117.1521505282





カテゴリー:  栄養関連アレルギー, げ芸能人・有名人 タグ: , , , , , パーマリンク