ギランバレー症候群・・・3〜4割はカンピロバクターが原因

[「肉フェス」でカンピロバクター食中毒 鶏肉はしっかり加熱を] (産経新聞  2016年5月31日) ゴールデンウイークに、東京都や福岡市で行われたイベント「肉フェス」で、 軽く湯通ししたり、表面をあぶったりした半生の鶏肉を食べた約600人 以上が、カンピロバクターによる食中毒となった。 生の鶏肉の提供は法律で禁止されているわけではないが、カンピロバクターに よる食中毒となるリスクがある。内閣府食品安全委員会は、鶏肉は中心部まで 十分加熱するよう呼びかけている。 (平沢裕子) <新鮮でも汚染> 「肉フェス」は、日本や世界のさまざまな肉料理を販売するイベントで、 各地で行われ、人気を呼んでいる。 今回の食中毒の原因とみられるのは、軽く湯通しした鶏のささ身や表面を 火であぶった鶏のむね肉をのせたすし。 東京都の会場では464人が発症、364人が医療機関を受診し、うち12人が入院 した。 福岡市の会場では食べた175人中108人が下痢や発熱などの食中毒症状を 訴え、69人が医療機関を受診した。 検査の結果、いずれもカンピロバクターによる食中毒と判明。 半生の鶏肉を食べたことが原因の可能性が高い。 イベントのホームページでは、「新鮮だからこそできる鶏ささみ寿司」などと アピールしていた。 カンピロバクターは、鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息する細菌。 特に鶏の腸管内にいる確率が高く、加工直後の鶏肉の60%以上が汚染されて いるという調査もある。 食品衛生コンサルタントの笈川和男さんは「カンピロバクターは空気を嫌う 嫌気性の細菌で、処理したばかりの新鮮な鶏肉の方が、処理後時間がたった ものよりも汚染度が高い場合がある」と指摘する。 厚生労働科学研究によると、40%の汚染率だった市販の鶏ひき肉が、冷凍した ことによって1日目は24%、7日目は12%に汚染率が減少していた。 このため、アイスランドやデンマークなどでは食中毒対策として、販売前の 鶏肉を冷凍することを義務化している。 冷凍しても汚染はゼロにはならないが、細菌の数が少なくなれば、食中毒の リスクはかなり軽減されるからだ。 <牛豚の生は禁止> 肉フェスで食事を提供するに当たり、出店した店舗は食品衛生法に基づいた 飲食店の営業許可を取っていたという。 この場合、施設の衛生面やメニューなどを保健所がチェックする。 食中毒が発生した肉フェスの2カ所の会場では、いずれも保健所の担当者が 肉を十分加熱するよう指導していた。 肉の生食をめぐっては、食品衛生法で牛レバーと豚の肉・レバーを生食用に 提供することが禁止されている。 感染すると死に至ることもある腸管出血性大腸菌やE型肝炎ウイルスに汚染 されている可能性があるためだ。 一方、鶏肉はカンピロバクターによる汚染の可能性は高いものの、生食による 死亡のリスクが低いことなどを理由に法律の規制はない。 また、食中毒は刺し身などの生食だけでなく、焼き鳥やバーベキューなど 加熱調理が不十分な場合にも発生しており、厚生労働省の担当者は「生食は 勧められないが、生食だけを禁じても十分な対策にはならない」とする。 <難病の引き金に> 厚労省によると、カンピロバクターによる昨年の食中毒の発生件数は318件。 患者数は2089人に上り、細菌による食中毒のトップだった。 カンピロバクターが原因の食中毒は、食後1〜7日(平均2〜3日)たって から発症するのが特徴。 主な症状は腹痛や下痢、発熱、嘔吐など。 腸管出血性大腸菌による食中毒のように重篤化して死亡することはほとんど ないが、症状が治まってから1〜2週間後にギランバレー症候群を併発する ことがある。 主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手や脚に力が入らなくなる難病だ。 約7割は回復するが、後遺症のため一生車いすでの生活を余儀なくされる人も いる。 この病気の3〜4割はカンピロバクターが原因とみられている。 食安委はカンピロバクターによる食中毒予防のため、 (1)肉は十分に加熱(65度以上で数分) (2)肉と他の食品と調理器具などを分ける (3)肉を扱った後は手を洗ってから他の食材を扱う (4)食肉に触れた調理器具は使用後に洗浄・殺菌を行う などが大事としている。              No tags for this post.
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