ポリオ(急性灰白髄炎)(小児麻痺)

[ポリオ(急性灰白髄炎)(小児麻痺)]

(Wikipedia)


急性灰白髄炎(ポリオ)は、ピコルナウイルス科、エンテロウイルス属の
ポリオウイルスによって発症するウイルス感染症のこと。
ポリオウイルスが原因で、脊髄の灰白質が炎症をおこす。

はじめの数日間は胃腸炎のような症状があらわれるが、その後1%以下の
確率で、ウイルスに関連した左右非対称性の弛緩性麻痺(下肢に多い)を
呈する病気である。



<疫学>
一般には脊髄性小児麻痺(略して小児麻痺)と呼ばれることが多いが、
これは5歳以下の小児の罹患率が高い(90%以上)ことからで、成人も
感染しう。

季節的には夏から秋にかけて多く発生する。

1961年から予防接種が実施されている。

日本では、1980年に野生株によるポリオ感染が根絶された。

その後は定期接種で行われる経口生ポリオワクチン(OPV)からしか発症して
いないが、海外では流行している地域がある。


ポリオは1988年には世界125カ国において年間35万症例が発生していたが、
日本を含む国際社会の真摯な取り組みにより、2011年には約650症例にまで
減少した。

現在、ポリオの常在国はパキスタン、アフガニスタン、ナイジェリアの
3カ国のみとなり、根絶へ向けた最終段階に入っている。



<症状>
潜伏期間は1〜2週間。
発病初期の症状は、発熱、頭痛、倦怠感、嘔吐、下痢など、感冒・急性
胃腸炎に似たものである。

このような症状が1〜2日続き、熱が下がるころ足や腕に弛緩性の麻痺が
起こる。
ときに横隔膜神経・延髄麻痺を生じて呼吸不全を起こし、死亡する危険が
生じてくる。

5〜10人に1人の確率で終生麻痺が残る。



<感染経路>
病原ウイルスは、感染者の咽頭に存在し、主な伝染源になるのが感染者の
便から排出されたウイルスで、さまざまな経路で経口感染する。

感染者の一部で、消化管から神経組織へとウイルスが侵入する。



<治療法>
特異的な治療法は無い。
急性症状に対する対症療法を行う。

残った麻痺には、マッサージや電気療法、運動療法などのリハビリ
テーションを行う。



<ポリオワクチン>
経口生ポリオワクチン(3価又は1価)または不活化ポリオワクチン
(3価)の接種がいずれも有効である。
野生株流行時はワクチンが絶大な予防効果を発揮する。

生ワクチンでは弱毒化した生きたポリオウイルスそのものを接種し感染させる
ため、ワクチンウイルス感染による麻痺性ポリオ発症が一定の確率で生じる。

ポリオはウイルスが中枢神経に感染することによって引き起こされるので、
ホルマリン処理されウィルスが生きていない不活化ワクチンを接種しても
ポリオは発症しない。

野生株によるポリオ感染が無くなった地域・国では、麻痺を起こさない、
より安全な不活化ワクチンへ移行しつつある。

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