［＜食の泉＞（96）葉酸とビタミン／体内貯蔵量に大きな差］
（河北新報 2015年08月23日）
ほうれん草を食べると、元気もりもり超人的な力を発揮する水兵のポパイは、
野菜嫌いの子どもに野菜の必要性を理解させるアニメの主人公でした。
ほうれん草の葉から発見された葉酸は、遺伝情報を担っている核酸の合成に
関わっています。
ビタミンB12も、核酸の合成に関わっています。
不足すると、細胞の分裂に障害が起きます。
どちらもとても重要なものなのですが、体内の貯蔵量は、大きく異なります。
植物から取ることができる葉酸は、ほとんど貯蔵されていませんが、動物性
食品にしか含まれていないビタミンB12は、体内に数年分貯蔵されています。
相補いながら細胞の代謝に関わっている両物質の貯蔵量の違いは、人類が
進化しながら生き延びてきた食糧確保事情と関係があるのかもしれません。
体の仕組みは、どうしてなんだろうと考え、推理する楽しさにあふれて
います。
調べても分からないこともたくさんあります。
自分で研究して解決する楽しみにもあふれているのです。
（宮城学院女子大教授 斎藤淑子）
http://www.kahoku.co.jp/special/spe1158/20150823_01.html