日本ではコレステロールが上がっているのに、冠動脈疾患による死亡率は下がっている

[日本ではコレステロールが上がっているのに、
                冠動脈疾患による死亡率は下がっている]

(MEDLEY  2015年7月30日)


<8か国の1980年から2007年の統計>
日本はほかの国に比べて、心筋梗塞などの冠動脈疾患による死亡率が低い
ことが知られています。

1980年以後の統計を先進国8か国で比較すると、日本ではコレステロールが
平均して上がり続けているにもかかわらず、冠動脈疾患による死亡率は下がり
続けていました。



<8か国の統計を比較>
研究班は、WHOの統計資料や各国政府の調査資料を使って、オースト
ラリア、カナダ、フランス、日本、スペイン、スウェーデン、イギリス、
アメリカについて、1980年から2007年の健康状態の情報と、冠動脈疾患に
よる死亡率を調べました。



<日本は冠動脈疾患による死亡率が最も低い>
得られたデータの解析から次の結果が得られました。

これらの国の中で、年齢調整冠動脈疾患死亡率は1980年から2007年まで
一貫して下がり続けた。

この死亡率低下は、日本で総コレステロールが一貫して上昇したことを
除いて、総コレステロールの低下にともなっていた。


現在50歳から69歳の個人の出生コホートにおいて、総コレステロールの
レベルはアメリカよりも日本が高くあり続けているが、冠動脈疾患死亡率は
日本が最も低いままである:アメリカに比べると男性では67%以上低く、
女性では75%以上低い。

冠動脈疾患による死亡率は8か国のうち日本が一貫して最も低く、8か国の
すべてで下がり続けていました。

総コレステロールの値は、日本では上がり続けていましたが、ほかの7か国
では下がり続けていました。

研究班は、「この観察は日本に特有の保護的な要因があることを示唆するかも
しれない」と結論しています。


コレステロールに代表される脂質異常症が冠動脈疾患の主な原因と考えると、
一見不思議な傾向に見えます。
コレステロールだけを見ても十分な情報にはならないのかもしれません。

ほかに関係しそうな要素として、肥満、糖尿病、高血圧、喫煙、飲酒、冠動脈
疾患発症後の治療、ほかの死因(がんや脳卒中など)の増減など多くのことが
考えられますが、これらを計算に入れても本当に日本に特有の傾向が残るのか
どうか、突き詰めた議論を見てみたくなります。



http://medley.life/news/item/55b79310f2706355014bbd15




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