運動関連低ナトリウム血症

[「運動中に水をたくさん飲む」の落とし穴、死亡事例も]

(Medエッジ  2015年7月23日)


<低ナトリウム血症で、時には命の危険も>
水やスポーツドリンクによる水分の過剰摂取によって、「運動関連
低ナトリウム血症(EAH)」と呼ばれる状態に陥る可能性があるようだ。


米国バージニア大学ヘルス・システムのマイケル・ロスナー医師が、カナダ・
スポーツ医学会の発行するクリニカル・ジャーナル・オブ・スポーツ・
メディシン誌の2015年7月号で「運動中の水分の過剰摂取に関わる死亡を
防ぐ:2015年合意ガイドライン」のタイトルで報告している。



<運動関連低ナトリウム血症の危険性>
脱水症状のリスクについてはよく知られているが、アスリートが運動中に
水分を取り過ぎることで、運動関連低ナトリウム血症と呼ばれる状態になる
のはあまり知られていないかもしれない。

水分が不足するのと、過剰になるのでは正反対となる。

運動関連低ナトリウム血症は、身体の塩分レベルが低くなりすぎて、深刻な
神経の問題を引き起こす状態を言う。場合によっては命に関わる。

かつては、マラソンやトライアスロンといった耐久スポーツの参加者で起きた
ものであるが、現在はより幅広い種類のスポーツでも起きている。

新しいガイドラインが作られるようになった。

研究グループのところでも1981年以来、少なくとも14件の運動関連
低ナトリウム血症による死亡を記録している。

2014年の夏にはフットボールをしていた若いアスリートが2人死亡したと
いう。



<運動関連低ナトリウム血症を防ぐ鍵>
「一般的に水をたくさん飲むとパフォーマンスが向上し、脱水を防ぐことが
できるという間違った考えによって起こっている」と研究グループは注意を
促している。
軽いレベルの脱水は、パフォーマンスを損なうことはないと説明。
知っておいた方が良いという。

喉の渇きを目安にして、水分を取るようにすると良い。
喉が渇いている時に水を飲む場合は低ナトリウムにはならない。
そして深刻な脱水症状を起こすこともない。



<スポーツドリンクも同じ>
スポーツドリンクを飲む場合にも、水と同じような注意が必要だ。
スポーツドリンクには塩分が含まれているとはいえ、水には違いない。


運動関連低ナトリウム血症の最初の症状は、思考がぼんやりとする、吐き気、
頭痛などがある。
深刻な場合には、発作、精神錯乱、昏睡状態になることもある。

コーチや親は、運動中の子どもが運動関連低ナトリウム血症かも知れないと
思う場合には、水を飲むのを止めて救急を呼ぶべきである。



https://www.mededge.jp/b/heal/16442



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