経口避妊薬(ピル)は要注意、第2世代よりも第3世代で静脈血栓塞栓症リスク高く

[経口避妊薬(ピル)は要注意、
        第2世代よりも第3世代で「静脈血栓塞栓症」リスク高く]

(Medエッジ  2015年6月21日)


<英国のデータ分析結果>
経口避妊薬(ピル)には注意が必要になりそうだ。
新しいほど、血液が固まる問題が起こりやすいと分かった。

英国ノッティンガム大学プライマリ・ケア科の研究グループが、有力医学誌の
BMJ誌2015年5月号で報告した。



<妊娠を避ける薬>
経口避妊薬は女性ホルモンで妊娠をしないようにコントロールする薬だ。
女性ホルモンとしては、「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン
(プロゲストロン)」を含んでいる。
排卵の抑制や子宮内膜に変化を起こすことで妊娠を避けることができる。

世界的には子どもを生める年齢の女性のおよそ9%、発展途上国では18%、
英国では28%が経口避妊薬を使用している。
日本よりも海外の方が一般的と見られる。



<新しい薬が登場している>
ピルの使用により血液が固まる血栓リスクが増加すると知られており、
静脈血栓塞栓症という重大な血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群と
同様の症状)が起こる恐れがある。

経口避妊薬は、含まれる黄体ホルモン剤のタイプによって、第1世代〜
第3世代に分けられている。
黄体ホルモン剤のタイプによる血栓の発生しやすいさの違いはこれまで
明らかではなかった。 

研究グループは、英国の開業医データベースを用いて、15~49歳の女性で
ピルの使用と静脈血栓塞栓症のリスクとの関連性を調べた。



<ピル使用でリスク3倍>
喫煙やアルコール、BMI、併存症などの知られている他の血栓症危険因子に
ついての条件で調整した結果、ピルを使用している女性は、使用していない
女性より静脈血栓塞栓症のリスクがおよそ3倍高いと分かった。

中でも黄体ホルモン剤のタイプで分けると、「レボノルゲストレル」と
「ノルエチステロン」という第2世代、「ノルゲスチメート」という
第3世代を含むピルがおよそ2倍、「ドロスピレノン」「デソゲストレル」
「ゲストデン」「シプロテロン」という第3世代を含むピルはおよそ4倍
だった。

新しい第3世代はノルゲスチメートを除いて、第2世代の1.5〜1.8倍の
リスクになる。



<妊娠そのものの方がリスク高い>
ピルを使用している女性で静脈血栓塞栓症が増加する割合は、
レボノルゲストレルとノルゲスチメートが毎年1万人あたり約6人と
最も低く、デソゲストレルとシプロテロンが約14人で最も高かった。

研究グループは、経口避妊薬は非常に安全で、妊婦の静脈血栓塞栓症の
リスクが最大10倍であることと比較すると、今回の約3倍という数字は
やはり低いと強調する。
経口避妊薬を止めるのではなく、もし懸念があれば医者に相談して薬の
タイプを再検討するよう勧めている。


日本でも心配があれば、相談をするようにしたい。




http://www.mededge.jp/a/xyst/14823





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