[一病息災 お笑いコンビ 松本ハウス 統合失調症(7)
ついに復活ライブ 大歓声]
(読売新聞 2015年6月4日)
コンビ復活の思いを加賀谷から聞いた松本は、即答を避けた。
「また2人でやりたい気は、僕にもある。でも、芸人に戻るのは大変なこと。
入院していたことで、偏見や好奇の目で見られることもあるし……」
松本は試しに、自分のトークライブに加賀谷を登場させた。
昔と同様、大汗をかいて笑いをとる加賀谷を見て、「大丈夫、いける」と
コンビ再生を決めた。
加賀谷は「もう一度、鍛え直してください」と頭を下げた。
復活ライブは立ち見も含め250人で埋まった。
客席は「お帰り!」の大歓声で迎えてくれた。
2人の「第2幕」が始まった。
闘病体験もネタにしている。
日本統合失調症学会などにも招かれ、精神科医らに講演もした。
服薬を続ける加賀谷は、仕事の時間を考えながら睡眠をとる。
「薬は処方された通り飲むこと。復帰に10年かかったが、私の人生に必要な
10年でした。他の人と比べても、焦っても腐ってもダメです」
松本は「相方を特別扱いせずに、一人の人間として普通に接しています」。
偏見がなくなるのを期待するより、「自分がどう生きるかが大事。年を
とっても、みんなを笑わせたい」。
これが芸人加賀谷の信条だ。
(文・斉藤勝久、写真・飯島啓太)
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20150604-OYTEW54975/