[コーヒーに体の炎症を抑える効果、
「飲んでいる人でがんのリスクが低い」理由にも]
(Medエッジ 2015年6月19日)
<多く飲む人は5つの炎症物質が少ない>
コーヒー飲んでいる人は、がんのリスクが低いと言われている。
その理由の1つは、コーヒーを飲むと体の中で炎症が起きにくくなるためかも
しれない。
米国立がん研究所を中心とした研究グループが、がん領域の専門誌
キャンサー・エピデミオロジー・バイオマーカー・アンド・プリベンション
誌で2015年5月21日に報告した。
<コーヒーが良い理由を探る>
コーヒーを飲んでいる人は長生きだという報告がある。
また、子宮がん、大腸がん、皮膚がん、前立腺がん、肝臓がんなど、
さまざまながんのリスクが低いという報告もある。
Medエッジでも、コーヒーとさまざまながんのリスク低下との関連性を紹介
してきた。
全身に慢性的な炎症状態が続くと、がんや糖尿病、メタボなどのさまざまな
病気につながる。
これに関連して、コーヒーを飲むと体内の炎症が抑えられ、それによりがんの
リスクが下がるのではないかという仮説がある。
今回研究グループは、コーヒーを飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて
実際に全身の炎症の様子が違うのかどうか、解析を行った。
対象は年輩の非ヒスパニック系の白人1728人。
普段コーヒーを飲む量は、アンケートで調べた。
また、採血を行い、「ルミネックスビーズ」という蛍光ビーズを使った
方法で、炎症の際に血中に放出される77種類の炎症物質を測定した。
コーヒーを飲む量と炎症物質について、得られたデータを統計学的に解析し、
関連性を調べた。
<5つの炎症物質が少なかった>
結果、調べた77種類のうち10種類の炎症物質はコーヒーを飲む量と関係して
いた。
偏りを補正したところ、最終的に5種類の炎症物質が関係しているものとして
残った。
たくさんコーヒーを飲む人は全く飲まない人に比べ、「インターフェロン
γ(IFNγ)」が3分の1程度、「CX3CL1」が4分の1程度、「CCL4」が
2分の1程度、「FGF-2」が3分の1程度、「TNFR2」が3分の1程度に
少なかった。
「IFNγ」「CX3CL1」「CCL4」の3つは、炎症の際に単球または
マクロファージと呼ばれる免疫細胞を活性化させたり炎症部位に集めたりする
ために放出されるものだ。
「FGF-2」は、炎症に関わる細胞を増やす。
「TNFR2」は、炎症反応を広げる物質。
今回の結果から、コーヒーを飲んでいる人は、体の慢性的な炎症が抑えられて
いる傾向があると分かった。
このことは、「コーヒー飲んでいる人は、がんや慢性的な炎症のリスクが
低い」理由の一端になっているだろうと研究グループは述べている。
コーヒー好きにはうれしいニュースだ。
http://www.mededge.jp/b/heal/14755