パニックを起しやすい人は、うつ病になりやすい

[日本人の衝動的な行動と遺伝子に関係
     「セロトニン」の調節に関わる遺伝子多型から性格を推測可能か]

(Medエッジ  2015年4月7日)


日本人の衝動的な行動を左右する遺伝子があるようだ。

京都大学や広島大学を含む学際的研究グループが、オンライン科学誌プロス
ワン(PloS One)で2015年3月16日に報告した



<幸せホルモンの調節と遺伝子>
研究グループは61人の健康な日本人のDNAを分析した。
注目したのは「5-HTTLPR」と呼ばれる遺伝子だ。

5-HTTLPRは、幸せに関わるホルモンと言われることもある「セロトニン」の
調節に関わっている。

研究グループは、この遺伝子の「1塩基多型(SNP)」を調べて、個人の
行動にどのように影響するかを調べている。


1塩基多型は、体質や病気のなりやすさに関係することもあるものだ。
人の細胞では、DNAの形で遺伝情報を保つ。
DNAは4種類の「塩基」と呼ばれる分子が30億個ほども並んだ文字列で、
一定の割合で個人ごとの塩基の差が存在している。
この個人ごとの違いを1塩基多型と呼ぶ。



<セルフコントロールできるか調べる>
対象とした人には「ゴー・ノーゴー課題」と呼ばれる簡単なテストを受けて
もらった。
ゴー・ノーゴー課題とは、青信号でアクセルのボタンを押して、赤信号で
アクセルを押さないといったテストで、セルフコントロールの能力を調べ
られる。

エラーで減点されるといった罰の仕組みも取り入れて、セルフコントロール
への影響を調べた。

セルフコントロールが乱れてしまって、さらにエラーを重ねてしまうような
衝動的な行動が現われるかどうか。遺伝子の状態との関係も調べている。



<2つのタイプ>
5-HTTLPRの遺伝子は、s/sの遺伝子型とs/lの遺伝子型が存在している。
日本人ではs/sの遺伝子型が一般的だった。

衝動的な行動との関係を調べると、s/s遺伝子型を持っている人は、s/lの
遺伝子型を持っている人と比べると、セルフコントロールがうまくいき、
エラーを起こして罰を受けても、衝動的な行動に走ってエラーを増やすような
ことはなかった。

s/sだとセロトニンの調節に関わるセロトニン・トランスポーターが少なく
なる傾向がある。
この特徴がセルフコントロールを改善する可能性もあると研究グループは
見ている。



日本人の衝動的な行動が出やすいかどうかを、遺伝子を調べることで判断
できる可能性もある。




http://www.mededge.jp/b/heal/11327




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