[池波志乃さん あごの骨髄炎(1)虫歯から細菌 苦しみ10年]
(読売新聞 2015年2月26日)(一病息災)
俳優の中尾彬さんとの「おしどり夫婦」として知られる。
虫歯からの細菌があごの骨に入った痛みに、10年間苦しめられた。
顔が変形する可能性もあったが、あごの骨を切り取り、肩の骨をあごに移植
する、半日がかりの大手術を乗り越えた。
祖父は名人古今亭志ん生、父はその長男の金原亭馬生、叔父は古今亭志ん朝。
落語界の名門の出だ。
3人姉妹の長女だったので、自然とお姉さんらしく育っていった。
東京の下町の一軒おいた隣に住む祖父は、かわいい初孫と朝食をとるため、
毎日お迎えに来てくれた。
小学校の時は家庭科の先生になりたかったが、やがて女優を志望するように
なった。
転機が15歳の夏に訪れた。
高校を中退して俳優養成所に通いたい、と両親に伝えた。
父は「自分で考えた結論なら、思うようにしなさい」と許し、後で芸名も
付けてくれた。
新国劇で付け人をした。
「わざと目立つように着物を着て、こまめに動き回りました」
オーディションの声がかかり、NHK連続テレビ小説でデビューした。
19歳だった。
2年後、テレビの時代劇にゲスト出演。
ロケの待ち時間に、男優が銘酒を話題にした。
台本の裏にその酒が飲める店の地図を描いてあげ、自宅の電話番号を添えた。
中尾さんとの初デートは、その銘酒の店だった。
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