ハエの幼虫 低血糖では成虫になれず 理研グループ解明

[ハエの幼虫 低血糖では成虫になれず 理研グループ解明]

(神戸新聞  2015年2月14日)


ハエの幼虫は低血糖になると、さなぎの段階で死んでしまい、成虫には
なれないことを、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市
中央区)のグループが明らかにした。
糖を使ってエネルギーをつくる脳に、障害が起きることが主な理由と
みられる。
人の低血糖や栄養不足による脳障害、成長障害の理解にも役立つ可能性が
ある。

研究成果は、米科学誌ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー
電子版に掲載された。


体内の糖は、主に摂食によって作られる。
体内で貯蔵されるとともに血管などの体液で運ばれ、各組織を動かす
エネルギーをつくるために使われる。

グループは、血糖を作れないショウジョウバエの幼虫に糖を含んだ通常の
えさを与えた結果、さなぎまでは成長するものの、羽化はできないことを
発見。
さなぎから羽化するまでに血糖は多く必要なのにもかかわらず、さなぎは
摂食しないため、糖が作れないことが原因とみられる。

幼虫にえさを与えない場合、通常のハエは3日以上は生存するが、血糖を
作れないハエは1日で死亡するなど低栄養に弱かった。

血糖を作れないハエの脳を調べたところ、別の種類の糖が減り、脳神経細胞が
死んでいた。
血糖が作れないため、貯蔵していた別の糖を消費し尽くして細胞が死んで
しまい、個体としても死んだと推測できるという。


一方、タンパク質の少ないえさにすると、血糖を作れないハエの幼虫は、
通常の約4割の大きさのさなぎにしか成長できず、その速度も遅かった。


多細胞研の西村隆史チームリーダーは「人を含めた他の動物もハエと同様、
特に成長期には糖やタンパク質など十分な栄養が、脳の保護や成長に必要だと
あらためていえるかもしれない」と話す。



(金井恒幸)



http://www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201502/0007739318.shtml





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