けいれん性発声障害…のどの筋肉のジストニア

[けいれん性発声障害…のどの筋肉のジストニア]

(読売新聞yomiDr.記事アーカイブ  2014年7月31日)


発声中にのどの筋肉がけいれんしてしまい、声が詰まったり途切れたりする
「けいれん性発声障害」という病気があります。
原因不明の神経の病気ですが、見た目にはわからないことから、ストレスや
緊張のせいと誤解されることも多いようです。

ある女性患者は、喉頭がんを疑われたり、精神科などにもかかったりしたが
診断がつかず、医療機関を何か所もさまよったといいます。

また、別の患者は「ストレスのせい」などと周囲に言われ、病院に行っても
相手にされないのではと、受診すらできずに1人で悩んでいたとのこと
でした。

会話中に、相手から「えっ」と聞き返される度、「言ってることが伝わって
いないのではないか」と不安になり、やがてしゃべること自体がおっくうに
なって、精神的にも落ち込んでしまったと打ち明ける患者もいます。


この病気は、原因不明の中枢神経の障害で、のどの筋肉に不随意運動が起きる
ので「のどのジストニア」とも呼ばれます。
20~30代の若い女性に多く発症するのが特徴です。

治療には、筋肉の緊張を和らげるボツリヌス毒素製剤の注射がありますが、
日本ではこの病気には承認されていません。
症状が重い場合には、のどの部分を切開して声を出しやすくする手術を行う
こともあります。


発声障害には、けいれん性発声障害以外にも様々な種類があります。
のどにできた腫瘍が原因の場合もありますし、心理的な要因のこともあり
ます。
腫瘍を取り除く治療や、言語聴覚士による発声指導によって改善が
みられれば、これらの病気が原因と言えます。

裏返せば、発声指導によっても改善がみられない場合は、ストレスなどが
原因ではなく、不随意運動であるけいれん性発声障害が疑われることに
なります。

福岡山王病院に今年7月、音声・嚥下障害のセンターを開設した梅崎俊郎・
国際医療福祉大教授は「正しく診断されずに『心の病』などとされている
現状が、患者をさらに苦しめているという問題がある」と、この病気への
理解を訴えています。



(田村良彦)



https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20140731-OYTEW62586/#csidx2f9aebd6b0e4c718faa55c962d6bd82





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