血液型:病気リスクに差 膵臓がんになりにくいO型

[血液型:病気リスクに差 膵臓がんになりにくいO型]

(毎日新聞  2014年4月10日)


<血液型の性格占いは・・・>
血液型診断といえば、性格占いを思い浮かべる人が多いだろう。

しかし意外にも、血液型によってがんになりやすかったり、感染症にかかり
にくかったりする傾向が研究によって分かってきた。
将来的には血液型に合わせた健康法が出てくる可能性もある。



<遺伝子が関係か>
「A、B、AB型の人はO型に比べ、膵臓がんになりやすい」
2009年、こんな衝撃的な論文を米国国立がん研究所が発表した。
約10万人を8年間追跡調査したもので、膵臓がんのなりやすさはO型に比べ、
B型は約1.7倍、AB型は約1.5倍、A型は約1.3倍だった。

その後、この論文を裏付ける研究が米国の別の研究機関やイタリア、中国の
研究でも明らかになった。

詳しい根拠は分かっていないが、血液型を決める遺伝子の働きが関係して
いると推測されている。


また、「O型は血栓症になりにくい」との報告もある。
米ハーバード大医学部関連医療機関の「ダナ・ファーバー研究所」の発表
(2010年)によるとO型に比べ、A、B、AB型は静脈にできた血栓が
肺動脈に詰まる肺塞栓症になるリスクが約1.5倍も高かった。


さらに、O型は感染症のマラリアに強いといわれる。
マラリア患者が多い赤道付近の東南アジアや南米の地域の先住民にO型が多い
のは、マラリアに打ち勝って生き延びてきたとみられるからだ。


一方で、O型は胃や腸など消化器系潰瘍には弱いという研究結果が
スウェーデンなどから報告されている。


全般的に言えば、O型が有利といえそうだが、生まれ持った血液型を変える
わけにもいかない。
何か予防策はあるのか。

世界中の文献を調べ、血液型と疾患に詳しい永田宏・長浜バイオ大学バイオ
サイエンス学部教授は「B型の人が膵臓がんになりやすいといっても、
もともと膵臓がんは多くないので、あまり神経質になる必要はない」とする。
その上で「血栓が生じやすいA型とB型の人で中性脂肪が高かったり、高血圧
だったりした場合は、早めに生活習慣の改善を試みるといった程度の注意が
あればよいのでは」と話す。



<夢のヨーグルトも>
それにしても、なぜ、細菌やウイルスによる感染症と血液型が関係するのか。

血液型はA、B、O、ABの4つあるが、型の差は、赤血球の表面に
くっついている「糖鎖」(糖の一種のガラクトースなどの単糖が鎖状に結合
した物質)の種類によって分けられている。
この糖鎖は胃、腸、腎臓、肺などあらゆる臓器の表面にある。
唾液や精液などから血液型が分かるのは、この血液型糖鎖が赤血球以外にも
あるからだ。

この臓器の表面にある血液型糖鎖が、ウイルスや細菌との結合のしやすさを
左右するとみられている。
細菌やウイルスから見れば、好きなタイプの血液型があるわけで、この性質を
利用して人の血液型糖鎖を認識する乳酸菌の研究も進む。


斎藤忠夫・東北大大学院教授らは7年前、人の腸にいた約270種類の乳酸菌を
調べた。
その結果、約30種類が血液型物質に応じた腸表面の糖鎖に強く付着し、腸に
長くとどまることを突き止めた。
長くとどまれば、有害な細菌の侵入を防ぐことができる。

その後、斎藤教授らは研究を重ね、潰瘍性大腸炎の原因の1つと考えられて
いる有害な腸内細菌のフソバクテリウム・バリウム菌が腸の糖鎖に付着する
のを阻害するビフィズス菌を発見した。
ビフィズス菌が先回りして血液型糖鎖に結合し、バリウム菌の作用を抑える
ことができれば予防になるという理屈。
近く東北大学病院の倫理委員会の承認を得て、潰瘍性大腸炎の予防や安定した
症状の維持に効果があるかを検証する人の臨床試験に入りたいという。

斎藤教授は「潰瘍性大腸炎の国内の患者数は14万人を超える。研究が進めば
将来的にはこうした疾患の予防に役立つ機能性ヨーグルトの登場も夢では
ない」と話す。



(小島正美)



http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140410-00000016-mai-soci





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