ヘディングによる脳の損傷

[ヘディングによる脳の損傷]

(HealthDay News  2014年2月21日)


サッカーのヘディングが、脳に深刻な長期的影響を及ぼす可能性があるという
カナダの研究グループからの警告が、「Brain Injury」第3号に掲載された。

カナダ、セント・マイケルズ病院(トロント)の神経科学研究プログラム長の
Tom Schweizer氏の研究によると、サッカーによる傷害の8.6%を脳震盪が
占めており、衝突のほか、ヘディングがその原因になっているという。

ヘディングの影響には十分な注意が払われていないが、脳震盪を起こすほど
重度の衝撃がなくても、思考力や記憶力に長期的な影響を及ぼす可能性が
ある。

脳震盪に至らないまでの衝撃が蓄積されることにより、脳震盪と同様に認知
機能への影響がみられるかどうかを検討するには、サッカー選手が絶好の研究
対象になると同氏は説明している。


Schweizer氏は既存の研究をレビューし、サッカーで脳震盪が起こる頻度を
調べた。

ある研究では、サッカー代表選手の約63%が一度は脳震盪の症状を経験して
いるが、それを認識していたのは19%にとどまることが判明。

別の研究では、脳震盪の経験がある選手の約82%が2回以上脳震盪を起こして
いることがわかり、脳震盪を1回起こした人は、再度起こす確率が3.15倍で
あることが示された。

さらに別の研究では、サッカーによる脳震盪はスポーツ全体の15%を占める
ことが判明した。

女子では、サッカーによる脳震盪はフットボールに次いで2位であり、全体の
8.2%を占めていることもわかった。

今回のレビューでは、このような頭部傷害の長期的な結果として、記憶、
計画、知覚などに支障がみられることが明らかにされた。

ある研究では、特にヘディングを頻繁に行うプロサッカー選手は、言語記憶
および視覚的記憶のほか、注意持続時間に関する検査でも最も成績が
低かった。

別の研究では、高齢選手および引退した選手の概念的思考、反応時間、
集中力に顕著な問題がみられた。

脳画像を用いた研究では、脳震盪を起こした選手の脳に物理的変化がみられる
ことがわかった。

研究著者らは、サッカー選手を深刻な頭部傷害から保護する予防措置が可能で
あると述べている。

研究共著者の1人であるMonica Maher氏は、「ヘッドギアの利用、小児のヘ
ディングの制限または適正なヘディング技術の強調、脳震盪に関する教育の
強化などが推奨される」と、述べている。


サッカーは世界で最も人気があり急速に拡大しているスポーツで、北米では
2,700万人がプレーしているという。



http://www.healthdayjapan.com/




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