「おくるみ」は赤ちゃんの股関節に悪影響

[「おくるみ」は赤ちゃんの股関節に悪影響、英論文] (AFPBB News  2013年10月30日) (発信地:パリ/フランス) 【10月30日 AFP】 赤ちゃんを布でくるんで腕の動きを固定し、足はまっすぐに伸ばして巻く 「おくるみ」が今、再び流行っているが、おくるみは乳児の股関節に悪影響を 及ぼすとの研究結果が英専門誌「小児期疾患アーカイブス」に掲載された。 おくるみは乳児の安眠を促す方法だとみなされている一方、専門家らは、 成長して中年を迎えたときに、変形性関節炎を起こしたり、人工股関節 置換術を受けることにつながると警告している。 今回発表された研究で、小児整形外科医のニコラス・クラーク氏は「伝統的な おくるみは、発育性股関節形成不全(DDH)を引き起こす要因となり得る」 と述べている。 「骨盤周辺の健全な発達を促すためには、足を股関節の位置で曲げ伸ば しできる余地を与えておかなければならない。そうすることで股関節の自然な 発達が可能になる。乳児の両足をきちんと揃え、まっすぐに伸ばしたまま 布をしっかり巻いてしまうようなことはすべきではない」という。 またクラーク氏は「おくるみ用の布は市販のものであれば、足を折り 曲げたり、股関節を動かす十分なスペースが確保できるものでなければ ならない」ともアドバイスしている。 クラーク氏が引用した数字によると、最近の北米では幼児の約90%が生後 数か月間「おくるみ」を施され、英国では2010年から2011年にかけての 1年間で「おくるみ」用の布の需要が61%増となっている。 古代ギリシャ・ローマ時代にまでさかのぼるとされるこの習慣は、全身に軽い 負荷をかけて安心感と温もりを感じさせることで、乳児に子宮にいたときの 感覚をよみがえらせているといわれている。 欧米諸国では、おくるみの習慣は赤ちゃんに悪影響を与えるとして数十年前に 廃れていたが、中東や一部の部族社会などではいまだに根強く残っている。 クラーク氏によると日本の啓蒙活動では、おくるみを避けるよう指導した 結果、股関節脱臼の発症数が半減したという。 この論文について、英ロンドンにある小児科医院、グレート・オーモンド・ ストリート病院の整形外科医アンドレアス・ロポシュ医師も、おくるみが 幼児の股関節の正常な発達を妨げる証拠があることに同意し「成長中の、 特に未発達の股関節に害をもたらす可能性があり、逆に良好な結果をも たらす要因は見当たらないため、おくるみはするべきではないというのが 私の見解だ」とコメントしている。 英ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジの小児科医であるアラステア・ サトクリフ医師は、伝統的に女性が自分の腰の上に乳幼児の足を広げさせて 子どもを運ぶナイジェリアのような国では、赤ちゃんの股関節脱臼はほとんど みられないという例を挙げ、「もしも子どもを寝かしつけるためにおくるみを する必要があれば、親は子どもの身になって特に腰回りをきつく締めつけない ように注意し、緩く巻いてあげた方が良い」と話した。 http://www.afpbb.com/articles/-/3002375No tags for this post.
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