咽喉がん増加にヒトパピローマウイルスが関連

[咽喉がん増加にヒトパピローマウイルスが関連]

(HealthDay News  2013年9月26日)


米国の若年成人に咽喉がんや口腔がんが急増している背景には、ヒト
パピローマウイルス(HPV)の存在があると、研究者らが報告している。


米ヘンリーフォード病院(デトロイト)の研究グループが米国政府のデータを
分析した結果、45歳以下の成人の間で舌根、扁桃、軟口蓋、咽頭のがんが
1973年から2009年までに60%増大していることがわかった。
これらのがんはまとめて「中咽頭がん」と呼ばれる。
期間中、白人では中咽頭がんの比率が113%増加したが、黒人では52%減少
していた。
しかし、5年生存率は黒人では白人やその他の人種よりも低い状況が続いている。


HPV は米国では最もよくみられる性感染症であり、性器や肛門の疣贅
(ゆうぜい=いぼ)を引き起こすこともある。
通常は免疫系により排除されるが、一部の症例ではウイルスが身体内に
とどまることがあり、特定のHPV株による持続的な感染が最終的にがんの
原因となることがある(子宮頸がんがよく知られる)。

HPV はさらに、オーラルセックスにより口腔内にも侵入する。
通常は特に症状はないが、がんの原因となる株による感染が長引くと中咽頭
がんに至ることがある。


この夏には、俳優のマイケル・ダグラスが、自身のステージ4の咽喉がんは
オーラルセックスによるHPV感染が原因であったと発言して注目を集めた。


研究の筆頭著者であり、同病院頭頸部放射線療法プログラム代表のFarzan
Siddiqui氏は、「中咽頭がんの増加は、主に1960年代から1970年代に起きた
性革命により、高リスクHPVの伝播が増大したことに原因がある」と述べ、
「扁桃や舌根のがんになる若者が大幅に増加していることがわかっただけで
なく、白人とアフリカ系米国人の間に大きな偏向がみられたことに驚いて
いる」と付け加えている。

研究対象となった患者1,600人のうち90%が36~44歳、73%が白人であり、
50~65%が腫瘍摘除術を受けていた。
5年生存率は、外科手術と放射線療法をともに受けた患者で最も高かったと
いう。

この報告は、米アトランタで開催された米国放射線腫瘍学会(ASTRO)の
学術集会で発表された。


米国がん協会(NCI)によると、最近の研究で、HPVへの曝露および感染は、
たばこやアルコールなどの重要なリスクファクター(危険因子)とは独立
して、中咽頭がんリスクを増大させることが示されているという。

なお、学会発表された研究のデータおよび結論は、ピアレビューされた
医学誌に掲載されるまでは、予備的なものとみなす必要がある。




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