歯が認知症を抑制 奥羽大の赤川学長ら解明

[歯が認知症を抑制 奥羽大の赤川学長ら解明]

(福島民報  2013年07月04日)


奥歯のないマウスは、記憶力が低下するなどアルツハイマー病の症状が悪化
しやすいとの実験結果を広島大や名古屋市立大、本県の奥羽大のチームが
まとめ、3日、発表した。
研究に携わった奥羽大の赤川安正学長(63)らによると、人間の場合でも
認知症患者の歯の喪失を防げば、症状の進行を抑えられる可能性があると
いう。
こうした実験は世界で初めてで、脳科学の英国誌「ビヘイビラル ブレイン 
リサーチ」の9月1日号に掲載される。


実験には、人工的にアルツハイマー病を必ず発症するようにした特別な
マウスを使った。
左右の臼歯(奥歯)を抜き、かみ合わせをなくしたマウス(A群)と、臼歯を
抜かず、かみ合わせを維持したマウス(B群)の2つに分け、抜歯から
4カ月後の学習・記憶能力の変化を比較した。

この結果、かみ合わせを維持したB群の全てのマウスは能力に変化が
なかった。
一方、かみ合わせをなくしたA群は、10匹のうち6匹で能力の低下が
見られた。
さらに詳しく調べると、能力が低下したマウスは、脳で記憶をつかさどる
海馬という部位の神経細胞の数が、変化のなかったマウスより少なくなり、
細胞の大きさ(面積)も小さくなっていた。

ただ、チームは当初、歯を失うことでアルツハイマー病の原因とされる
アミロイドβタンパクが増加し、神経細胞が少なくなる-との仮説を立てて
いた。
しかし、実際には能力が低下したマウスと、そうでないマウスのタンパク量に
目立った差はなかった。
今後、さらに研究を続ける。


アルツハイマー病をめぐっては、歯を失うことで発病のリスクが2.8倍高く
なるとの疫学調査があり、歯の有無と病気に密接な関係があることが知られて
いる。
ただ、その仕組みは分かっていなかった。
アルツハイマー病になるマウスを使った今回のような実験は世界でも例が
ないという。


奥羽大の赤川学長は、歯や顎が失われた場合に入れ歯やインプラントなどで
補う「歯科補綴学」が専門。
広島大に在籍していた6年前から、広島大病院の大上博史歯科診療医、アルツ
ハイマー病の基礎研究を行っている名古屋市立大の道川誠教授らと研究を
進めてきた。
赤川学長は「奥羽大の学生も加えながら、研究を続けていく。将来的には、
かみ合わせを維持することが、人間のアルツハイマー病とどう関わるのかも
突き止めたい」と話している。



http://www.minpo.jp/news/detail/201307049426






No tags for this post.
カテゴリー: い入れ歯, か噛み合わせ(咬合), に認知症,  アルツハイマー パーマリンク