[22歳時の肥満で55歳までの糖尿病リスク8倍、死亡リスク2倍
エコノミークラス症候群や高血圧も―デンマーク研究]
(あなたの健康百科 2013年5月7日)
デンマーク・オーフス大学病院のMorten Schmidt氏らは、同国の徴兵検査を
受けた22歳の男性6,500人超を55歳になるまで追跡した結果、22歳で肥満と
判定された人では、糖尿病(2型)になるリスクが肥満でない人の8倍以上、
死亡リスクは2倍に上ると、英医学誌「BMJ Open」(2013; 3: e002698)に
発表した。
静脈血栓塞栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)や高血圧、心筋梗塞
などのリスクも上昇していたという。
Schmidt氏らは、若いときに肥満を改善することの重要性を指摘している。
<糖尿病や死亡などを合わせたリスクは3倍>
デンマークでは18歳から32歳の男性に徴兵義務があり(女性も志願可能)、
兵役期間は通常4カ月。
18歳になると徴兵検査を受けるよう求める書類が届くが、検査は必ずしも
18歳時に受けなければならないわけではないという。
Schmidt氏らは、デンマークの徴兵検査を受けた1955年生まれの男性
6,502人を、22歳から55歳の誕生日まで追跡。
BMI(肥満指数)は、標準体重(18.5~25未満)が5,407人(83.0%)、
低体重(18.5未満)が353人(5.0%)、過体重(小太り、25~30未満)が
639人(10.0%)、肥満(30以上)が97人(1.5%)だった。
55歳までに糖尿病、高血圧、心筋梗塞、脳卒中、静脈血栓塞栓症のいずれかを
発症した、または死亡した割合は、標準体重で20%(10万人当たり年間
649人)だったのに対し、肥満では48%(同1,814人)。
認知機能テストの結果と教育年数の影響を除外した発生リスクは、肥満の
人たちで3倍だったという。
<高血圧や心筋梗塞も2倍以上>
また、各項目別では、糖尿病で8.2倍、静脈血栓塞栓症で4.7倍、高血圧で
2.1倍、心筋梗塞で2.5倍、死亡では2.1倍だった。
一方、脳卒中についてはむしろリスクが10%低下していた。
2008年に米医学誌「Circulation」で発表された論文(2008; 117: 93-102)
では、肥満の人の静脈血栓塞栓症リスクは、肥満でない人の2倍と報告
されたが、Schmidt氏らはこの研究の対象に若者が含まれていなかったことを
指摘。
今回の検討では4倍にも上っていたことから、成人して間もなくからの
肥満解消が重要としている。
http://kenko100.jp/news/13/05/07/02