リハビリ ポリオとともに:3 まひ残る足を4度手術

[患者を生きる リハビリ ポリオとともに:3 まひ残る足を4度手術]

(朝日新聞  2012年7月28日)


歯科医師試験に合格し、大阪厚生年金病院(大阪市)の研修医になった青木
秀哲さん(47)は、ポリオで麻痺が残る左足の手術を、同僚の整形外科医に
勧められた。

左のつま先はいつも垂れた状態。
階段を上るときにはももを高く上げて、つまずかないように注意する必要が
あった。
歩きにくいし、見た目も気になっていた。

同僚医師の説明によると、足首から足底にのびる腱を足の甲に移せば、
つま先が引っ張られて少し上を向くという。
「歩きやすくなるかもしれない」と大阪厚生年金病院で1992年に手術を
受けた。
1週間ほどで退院し、1カ月間ギプスをつけて腱をなじませたあと、足首を
固定する長靴のような装具をつけた。
ところが、左足の筋肉を長い間使わなかったために筋力が衰えてしまった。
幼稚園以来、ふだんの生活で装具は必要なかったのに、手術を機に、装具に
頼る生活になった。
しかも、手術した腱は少しずつゆるむ。
このため、つま先は次第に垂れるようになる。
「想定外だった」

結局、ゆるんだ腱を縫い縮める追加手術を、2008年までの12年間に計3度も
受けることになった。
手術を重ねるたびに、つま先を持ち上げる効果も小さくなるようだった。

医師を信頼し、よく行われる手術と聞いて納得して受けたはずだったが、
「手術をすべきだったのか。しなかったら、どうだったのか」という思いが
何度もよぎった。
しかし、質問をする機会もなく、その医師は亡くなった。


人生の転機もあった。
1996年3月に歯科衛生士の佐世さん(43)と8年の交際をへて結婚した。
初めてのデートや両親にあいさつするとき、「足のこと」がどう思われて
いるのか不安になった。
しかし、2人にとって、それは大きな問題ではなかった。
1997年には大阪歯科大(大阪府)の助手のポストを得た。


公私ともに充実した生活。
ところがこのころ、「ポストポリオ症候群」という病気を解説した本を
知った。
ポリオ患者が40代ごろに症状が悪化する例があるという。
手術を繰り返す中、不安が次第に迫ってきた。




http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201207270243.html





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