リハビリ ポリオとともに:2 人の1.5倍努力 歯科医に

[患者を生きる リハビリ ポリオとともに:2 
                      人の1.5倍努力 歯科医に]

(朝日新聞  2012年7月27日)


生ワクチンの予防接種により、生後10カ月でポリオを発症した大阪人間
科学大教授、青木秀哲さん(47)は、左足に麻痺が残った。

小学校に入ると、左足をかばって歩く姿をからかわれ、同級生らとよく
口げんかになった。
体育のときに後ろから押され、けがをすることもあった。
しかし体格は学級で1番大きく、けんかでは負けなかった。
運動会のかけっこでは、さすがに半周の差がつく。
でも、「かけっこも勉強も、人の1.5倍がんばれ」と父(79)はいい、
ハッパをかけた。
担任にも「体育はみんなと一緒にやらせて欲しい」と頼んだ。
「医者になって手に職をつけるために」と、学習塾にも通った。

一方、病院でのリハビリは幼稚園に入って以来、行かなくなった。
幼稚園や小学校には歩いて通い、体育も遠足も休んだことはない。
左足に麻痺はあるが、筋力が衰えることはなく、症状は安定していた。

青木さんは、予防接種の被害者だ。
誕生日には保健所職員らが自宅にきて、謝罪しながら、「いじめは受けて
ないですか」と聞いた。
しかし小学校では逆に、体育を見学する体の弱い子をからかう側に回って
いた。
陰湿ないじめではないが、そうしなければ、自分がいじめられる対象になる
ことは分かっていた。
「変に頭の回る、悪い子でした」


中学は、願書にポリオと書かずに受けて私立の進学校に合格した。
ところが、合格発表の会場で職員から「足、どうした」と呼び止められた。
「事実を隠して受験した」として、合格を取り消された。

1984年に岐阜歯科大(現・朝日大)に合格。
望んでいた医師ではなく、歯科医師への道を歩み始めた。

国家試験に通り、1990年、大阪厚生年金病院(大阪市)の研修医になった。
同僚の整形外科医に左足について聞かれ、ポリオのことを話した。
当時26歳。
生活には何の支障もなかったが、左足は右より細く、長さも4センチほど
短かった。
「歩きやすくなる手術がある」と、この医師は勧めた。
「歩き方が少しでもよくなるのなら」
手術を受けてみようと思った。




http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201207260331.html





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