ニューキノロン系抗菌薬で網膜剥離リスクが4.5倍に―カナダ研究

[一部の抗菌薬で網膜剥離リスクが4.5倍に―カナダ研究]

(あなたの健康百科  2012年4月5日)


カナダ・ブリティッシュコロンビア小児家族研究所のMahyar Etminan氏
らは、ニューキノロン系の抗菌薬を服用すると網膜剥離リスクが4.5倍に上昇
すると、米医学誌「JAMA」に報告した。
ただし、同薬による網膜剥離の絶対リスク(観察期間中の集団内での発生率)
上昇の程度は小さいとの見方を示している。

なお、他の抗菌薬やβ刺激薬の服用によるリスク上昇は認められなかったと
いう。



<治療1日以上前の服用とは関連せず>
ニューキノロン系の抗菌薬は、さまざまな市中感染症に多く使用されている。
副作用が耐えられる程度のもの(忍容性が優れる)との評価の一方、以前から
眼毒性に関する多数の症例報告があったいう。


Etminan氏らは、2000年1月~2007年12月にカナダ・ブリティッシュ
コロンビア州内の眼科を受診した98万9,591人から網膜剥離例4,384人を
抽出し、年齢や登録時の年月が一致した非網膜剥離例4万3,840人と比較
した。

解析の結果、眼科受診時にニューキノロン系抗菌薬※服用していた人では、
服用していなかった人と比べて網膜剥離進展リスクが4.5倍に上昇していた。
網膜剥離の治療が行われた日から1~7日以内の同薬服用、あるいは
8~365日以内の服用の場合は、リスク上昇が認められなかった。

なお、β(ベータ)ラクタム系の抗菌薬あるいは短時間型β刺激薬では、
網膜剥離リスク上昇との関連は認められなかったという。

一方、ニューキノロン系抗菌薬服用による網膜剥離の絶対リスク増加の程度は
年間1万患者当たり4人だった。
そのため、Etminan氏らはニューキノロン系抗菌薬服用例では、非服用例に
比べ網膜剥離リスクの上昇が見られたとしつつ、絶対リスクの程度は小さいと
結論している。


※<ニューキノロン系抗菌薬>
  ・シプロフロキサシン「シプロキサン」「シプロ」
  ・レボフロキサシン「クラビット」
  ・ノルフロキサシン「バクシダール」
  ・モキシフロキサシン「アベロックス」
  ・ガチフロキサシン(日本では経口薬未承認)



詳細は、
http://kenko100.jp/news/2012/04/05/01





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