人工股関節、長持ちさせたい すり減りにくい素材使った新型登場

[人工股関節、長持ちさせたい すり減りにくい素材使った新型登場] (朝日新聞  2011年12月22日)(斎藤孝則) 悪化すると、寝返りしただけでも激痛が走る変形性股関節症。 末期になれば、人工関節に置き換える手術しかない。 これまでは耐用年数に課題があったが、今年10月に長寿命化が期待できる 人工股関節が登場した。 再手術のリスクを減らせると注目を集めている。 <再手術リスク減> この病気は、生まれつき股関節の形や働きに異常があったり、老化したりする ことで起こる。 股関節が変形し、関節のクッションとして働く軟骨がすり減って発症する。 日本整形外科学会の診療ガイドラインによると、国内の患者数は人口の 1~4.3%と推計されている。 自分の骨を移植して変形を補う骨切り術といった治療法もあるが、症状が進行 してしまえば、人工関節に置き換えることになる。 国内では年間4万件以上も行われているが、人工関節に接する骨が徐々に 溶けてゆるんでしまうという、耐久性の問題があった。 人工股関節は大腿骨の先端についた骨頭ボールが、骨盤についた半球状の シェルにはめ込まれている。 骨が溶けるのは、シェル内側のクッション材にあたるライナーがこすれて 細かい粉(摩耗粉)が発生し、骨を溶かす細胞を活性化させてしまうからだ。 ライナーは摩耗に強い素材が使われ始め、現在の耐用年数は20年以上とされて いる。 しかし、日本人女性では平均寿命が85歳を超えており、60歳を前に手術 すれば入れ替える可能性は否定できない。 骨が溶けてしまえば固定しにくいため、再手術自体も難しくなる。 <摩耗粉100分の1> そこで、東京大は日本メディカルマテリアル(大阪市)と共同で、長寿命型の 人工股関節を開発。 茂呂徹・特任准教授(関節機能再建学)が素材として注目したのが、人工 心臓やコンタクトレンズにも使われているMPCポリマーだった。 この素材は関節軟骨の表面と同じ構造を持ち、水になじむと潤滑性が高く なる。 1日5500歩を15年間続けた場合を想定した摩耗試験では、従来品に比べて 摩耗粉を100分の1以下に抑制できた。 「摩耗粉が出ても、骨を溶かす細胞を活性化させないことも分かりました」と いう。 入院期間などにもよるが、医療保険で3割負担なら1カ月の入院で平均 60万~80万円前後。 高額療養費制度などを申請すれば、20万円を下回ることもある。 JR東京総合病院の鴨川盛秀院長(股関節外科)は「摩耗粉の心配がなければ 骨頭ボールを大きくできるので、脱臼しにくい人工股関節ができるかも しれない。(時間的な)劣化に対しても有効なら、長寿命化が期待できる」と 話す。 https://aspara.asahi.com/blog/mediblog/entry/uVv75CpEblNo tags for this post.
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