口福学入門(10) 口の中のウイルス感染症

[口福学入門(10) 口の中のウイルス感染症] (毎日新聞  2011年11月7日) インフルエンザの流行シーズンですが、ほかにもさまざまなウイルスが口や 鼻から入り、体に影響を与えます。 口の中にもウイルス感染症が見られますので、重症化を防ぐためには早期 発見が必要で、乳児から高齢者まで油断できません。 飛沫感染と、手や指についたウイルスが食事などの際に入り込む接触感染が ありますので、感染予防にはマスクと手洗いが効果的です。 乳幼児期に見られるヘルペス性口内炎は、重症になると口の中に多数の 小水疱ができ、水疱は破れてびらんになり激しい痛みが生じます。 高熱が続き、食事ができず、乳幼児は全身の衰弱が懸念されます。 初感染ではヘルペス性口内炎になるケースは多くありません。 しかし、成人になってから潜んでいたウイルスが活性化し、再感染という形で 発症します。 これが口唇ヘルペスです。 初感染より症状は軽いのですが、スキーなどで過度に紫外線を浴びることや、 疲労や風邪などが誘因となって、何度も繰り返します。 抗ウイルス薬は重症化を抑えますが、水疱が出た後では効果は限られます。 同じヘルペスでも帯状疱疹はさらに深刻です。 原因は水痘・帯状疱疹ウイルスで、初感染は水痘(水疱瘡)です。 このウイルスは神経を好み、初感染後は神経節に潜みます。 何らかの原因で活性化し再感染したウイルスは、脳神経や脊髄神経の支配 領域に沿って広がります。 体の片側に帯状の発疹、水疱を多数作るのが特徴です。 胸部に多いのですが、口腔では知覚の三叉神経と表情を作る顔面神経によく 現れます。 そのため口からのどにかけてや顔面の激しい痛み、運動まひ、味覚障害を 起こします。 治癒後も、特に高齢者では神経痛のような痛みや、顔面神経まひが残ることが あります。 このほか、毎年春先に流行する手足口病にも注意しましょう。 口内炎と思ったら手や足にも水疱が見られ、周囲の子供の間に広がります。 発病初期から口腔にカンジダ症や毛状白板症を生じるエイズも、ウイルス 感染症であることを忘れてはなりません。 これは飛沫でなく接触感染のため、予防できます。 (山根源之東京歯科大名誉教授) http://mainichi.jp/life/health/news/20111107ddm013100004000c.htmlNo tags for this post.
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