女性と病気 線維筋痛症:4 サングラス外そうと決心

[女性と病気 線維筋痛症:4 サングラス外そうと決心]

(朝日新聞  2011年9月4日)


線維筋痛症と診断された吉田裕子さん(40)は、熊本大病院の坂田研明医師
(54)による治療により、寝たきり状態から脱出しつつあった。

とはいえ、当時の服装は異様なものだった。
蛍光灯の光でも目が痛むため、室内でもサングラスを外せない。
肌への刺激を和らげるため、夏でも長袖に手袋をつけ、クッションをいつも
抱えていた。
スカートだと生地が皮膚にすれるたびに激痛が走るため、いつもスパッツを
はいた。
「スパッツなら、痛いのははくときの1回だけだから」

今でも友人から「見るからに痛々しかった」と言われる。


姿を変えるきっかけが2006年暮れに訪れた。
熊本県の難病相談・支援センターの勧めで参加したワークショップ(勉強会)
だ。
慢性疾患の患者が薬を正しく飲んだり、仕事や育児をしたりする方法を学ぶ
内容で、週1回、2時間半の講座を、6週間受けた。

勉強会では、身近な人とのコミュニケーションの取り方についても学んだ。
人と良好な関係を作るためには、「私はこれで困っている」「こういう風に
してくれれば助かる」と明確なメッセージを出すことが必要だという。
そうすれば、相手も気兼ねなく「ここまでならカバーできる」と応えられると
いう。

思えば、これまでは「病名を言っても誰も知らない。心配をかけるだけ
だから」と思い、ごく親しい友人にしか、病状を説明しなかった。
このため、長男が通っていた幼稚園で一部の母親仲間に誤解を招き、結果的に
自分だけでなく相手も傷ついた。
そんな苦い体験も思い出した。

「このままじゃ駄目だな」と心底思った。
やがて、相手の目を見て話せるようにサングラスを外すことを決心。
蛍光灯の光に目を慣らす訓練を家で始めるようになった。

痛みを少しでも自分でコントロールしてさまざまな行事に休まず参加する
ため、「前日にしっかり睡眠を取ること」を心がけた。

痛みに耐え、できることを一つずつ増やした。
この達成感が自信につながった。
「線維筋痛症友の会」の九州支部長を任せられ、いつしか患者の悩みを聞く
ようになっていた。



http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201109030218.html





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