エンテロウイルスが1型糖尿病発症に関連

[エンテロウイルスが1型糖尿病発症に関連]

(HealthDay News  2011年2月3日)


1型糖尿病の発症に、風邪症候群の原因ウイルスでもあるエンテロウイルス
(EV)が強く関連することが、オーストラリア、ウエストミード小児病院
(シドニー)内分泌・糖尿病研究所准教授のMaria Craig氏らによるメタ
アナリシス(分析)研究で明らかになった。

英医学誌「BMJ」オンライン版に2月3日掲載された論文によると、Craig氏
らは、24研究の論文と2研究の要約から計4,448症例のデータをレビューし、
1型糖尿病とエンテロウイルス感染の関連を調べた。
その結果、特に小児において強い関連が示されたという。


実際、糖尿病患者は非患者の10倍、エンテロウイルスに感染しやすいことが
知られている。
「エンテロウイルスが1型糖尿病の発症機序にどのように関わるのか、検討を
開始する必要がある。ワクチンなど発症に寄与するウイルスの抑制方法を
見つけることが目標となるだろう」とCraig氏は述べている。


腸管で増殖するウイルスの総称であるエンテロウイルスは、特に乳幼児に
一般的なウイルスで、風邪やインフルエンザ症状、熱、筋肉痛、発疹、
髄膜炎の原因となる。


1型糖尿病は、遺伝因子、自己免疫システム、環境因子の組み合わせによって
発症すると考えられているが、小児期発症、中でも5歳未満の場合はエンテロ
ウイルスへの曝露が原因の一部になっている可能性が、近年指摘されていた。
今回のメタ分析は、新しいデータでよりその強い関連を確認したものである。


この結果について、同誌論説の共同執筆者であり仏リール大学ウイルス学
教授のDidier Hober氏は、「近年の1型糖尿病患者の増加は、エンテロ
ウイルスのような環境因子によって説明されるのかもしれない。コクサッキー
ウイルスB群はその1例だ」と説明している。

ただし、エンテロウイルスが1型糖尿病の全発症に関わるのか、一部なのかは
不明という。

「エンテロウイルスは疾患の誘因、あるいは進行の加速因子として機能する。
これらのウイルスへの持続感染や慢性感染は、1型糖尿病発症に寄与する
ことが考えられる。疾患と感染の関連が確認されれば、予防や治療戦略の
可能性が広がる」とHober氏は指摘している。


米アルバートアインシュタイン医科大学モンテフィオーレ医療センター糖尿病
センター(ニューヨーク)臨床医学教授のJoel Zonszein氏は、「1型
糖尿病とエンテロウイルス感染には何らかの関連があるが、因果関係までは
示されていない。1型糖尿病患者がエンテロウイルスに特に感受性が高いの
かもしれない。ともあれ、今回の研究結果は、1型糖尿病の発症原因について
われわれはまだ何も知らないことを思い出させてくれた」と述べている。



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