高校生への禁煙講座は、EDとタバコとの関係から

[そろそろ禁煙、本気で考えませんか? ]

(朝日新聞 2010年9月2日)(町医者だから言いたい! 長尾和宏先生)


昨夜の往診の帰り路。
道路脇の温度計は、25度でした。
やっと、朝晩だけは少し秋の気配を感じる季節となりました。
秋といえば、そう、タバコの値上げが迫って来ましたね。

今日からしばらく、タバコについて書きたいと思います。
「禁煙で人生を変えよう ―騙されている日本の喫煙者―」という本を、
昨年出版しました。
読まれた方、おられますか?

尼崎といえば、昭和40年代は公害喘息で有名でした。
最近はアスベスト問題やメタボ健診発祥の町として有名です。

しかし、クリニックを受診される方は喫煙者がとても多いです。


風邪で咳が止まらない方の大半は喫煙者です。
タバコの害といえば肺がんを思い浮かべる方が多いでしょう。
たしかに、肺がんはがんの中でも怖くて厄介な病気です。


しかし、同じ肺の病気でもタバコが関係する病気で、忘れてはならないのが
COPD(慢性閉塞性肺疾患)です。
街中で酸素を吸っておられる方の多くは、COPD患者さんです。
このCOPD(昔は肺気腫と言いました)こそが、日本に500万人もの患者
さんがいる、「ザ・タバコ病」です。
進行すれば酸素吸入が必要となり、命に直結する難儀な病気です。


タバコとがんで最も関係が深いのは実は、喉頭がんです。
喫煙者は、その確率が33倍も高くなります。
その他、口腔がん、食道がん、膀胱がんなどが特に関係の深いがんです。


タバコと関係の深い病気として、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症が
有名です。
さらに、糖尿病や高血圧にタバコが深く関係することは、あまり知られて
いません。
これらは、タバコを止めるだけで確実に改善します。


尼崎市は、兵庫県下で男性が1番短命の町です。
その理由は、メタボが多いからとも言われています。
メタボ対策は、まず禁煙、そして食事と運動、です。


また、勃起不全(ED)にもタバコがおおいに関係しています。
高校生への禁煙講座は、この話題から入ると身を乗り出して聞いてくれます。

さらに最近では、タバコは認知症とも関係が深いことも分かってきました。
認知症は、誰もがなりたくない病気のナンバー1ですね。

その他、タバコは腰痛や骨粗鬆症とも関係しています。
このように、知っているようで意外と知らないのがタバコ病です。


私は、外来診療の合間に人生の終末期を住み慣れた自宅で過ごしたい人の
お世話をする「在宅ホスピス医」です。
年間40~50人、合計400人の方をご自宅で看取ってきました。

末期がんが多いのですが、死を目前にして患者さんやご家族に必ず聞かれる
質問が「何故、がんになったのですか?」です。

タバコ病で命を落としている方があまりにも多い現実に対峙し、町医者として
タバコ問題に正面から立ち向かおうと決心しました。

そろそろ禁煙、本気で考えませんか?




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