運動器 変形性股関節症(6) 情報編 改良進む人工関節

[運動器 変形性股関節症(6) 情報編 改良進む人工関節] (朝日新聞  2010年8月22日) 変形性股関節症は、体を支える股関節の軟骨がすり減り、衝撃を吸収できなく なって骨が変形する病気だ。 欧米では、加齢や体重の増加などで発症する例がほとんど。 日本では、大腿骨の先を包む骨盤側の覆い「臼蓋(きゅうがい)」の 成長が不十分な臼蓋形成不全や、先天性の股関節脱臼が原因になるケースが 9割以上を占める。 日本整形外科学会によると、X線写真を使った調査での国内の有病率は 1〜3.5%。 発症は平均40〜50歳で大半が女性だ。 「スポーツ万能の若い女性が突然痛みを訴え、変形性股関節症とわかることも 多い」と佐賀大学医学部の馬渡正明教授は話す。 手術による代表的な治療には、自分の骨を移植して骨盤側の覆いを増やす などして骨の形成不全や変形を補う「骨切り術」がある。 「軟骨がすり切れる前に骨切り術を受ければ、一生痛みが出ない人もいる」と 馬渡教授。 ただ、症状が進んでからだと、痛みが十分に改善しない人もいるという。 もう1つの手段が人工股関節だ。 最近は技術の改良が進み、耐用年数が20年以上になった。 30〜40代の若い患者でも人工関節を入れる手術を選ぶケースが増えている。 人工関節の素材には合成樹脂のポリエチレンとセラミック、合金がある。 ポリエチレンは軟骨部分に使われ、実績があるが、長く使ううちにすり減って 摩耗粉が骨を溶かすことがある。 セラミックはすり減りは少ないが、割れやすさへの懸念がある。 合金は割れにくいものの、金属の一部が溶けて体に影響する心配があり、 一長一短だ。 人工関節の耐久性には限界があり、「ほかに治療法がないときの最後の手段」 ともいわれる。 睡眠中の痛みや歩けないほどの痛みで、日常生活にも支障が出れば、人工関節 手術を勧める医師が少なくない。 歩けずに筋力が弱ってしまうと、人工関節の治療効果も落ちてしまい、 タイミングが大切だ。 人工股関節は、脱臼や破損を防ぐため激しい運動が制限されるといった限界が ある。 リハビリや定期的な検診など、人工関節を長持ちさせるための努力も欠かせ ない。 変形性股関節症は、術後も長く向き合う必要がある。海老名総合病院の 近藤宰司人工関節・リウマチセンター長は「治療法の丁寧な説明だけでなく、 長期的ケアも考えてくれる医師を選んでほしい」と話す。 (林義則) http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201008220110.htmlNo tags for this post.
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