運動器 変形性股関節症(4) 人工股関節で生活が一変

[運動器 変形性股関節症(4) 人工股関節で生活が一変] (朝日新聞  2010年8月20日) 1999年6月、変形性股関節症の手術についてセカンドオピニオンを求めた 横浜市青葉区の金岡早苗さん(55)に、海老名総合病院の近藤宰司医師は いった。 「今なら人工股関節でふつうに歩けるようになります」 近藤医師は、治療法の進歩や置換手術に伴う危険性について丁寧に話して くれた。 人工関節の課題は、あとになって再度つけ直す手術をしないといけなくなる 場合があることだ。 関節部分に細菌感染が起きれば、人工関節をはずさないと治療できないことが ある。 また、人工関節の破損や骨との接合部のゆるみ、人工関節から出る摩耗粉 などによる骨の融解で、10〜20年後に再置換手術が必要になることが あった。 しかし、無菌室で手術することで感染のリスクが減り、人工関節の損傷や ゆるみも製品の改良や手術法の進歩で改善しつつある。 毎年の検査で異常を早く発見できれば、再置換手術の負担も少ない、との ことだった。 海老名総合病院では、当時の製品を使った治療で10年後の再置換率は1% 程度。 全国的にも、10年後の再置換率は5%以下だった。 「普通に歩けるなら手術を受けたい」 明るい道が開けた気がした。 9月に入院。 足のつけ根の外側を約15センチ切開し、変形した骨頭を切除。 人工関節の部品を大腿骨に差し込み、臼蓋側の部品を骨盤にはめ込んだ。 手術して最初の夜は痛みで眠れなかったが、1週間で車いすで移動できる ようになり、2週間で歩行練習が始まった。 効果はすぐに表れた。 ずっと続いていた関節の痛みが消え、足がすいすい曲がる。 つえを使わなくても、一歩を踏み出せた。 「いい感じ。きれいな歩き方ですよ」 医師の言葉がうれしかった。 術後2カ月の入院生活後もリハビリを続け、半年後にはつえなしで外に 出られるようになった。 生活が一変した。 かつては家を出る前、いつも歩行時間を計算し、階段やエレベーターの有無を 確認していた。 和式のトイレも使えなかった。 そんな制約がなくなった。 翌年、豪州に行った。 同じ姿勢を強いられる機内で長く座れないため、ずっとあきらめていた 海外旅行だった。 単身赴任から戻った夫や長女、祖母も一緒で、心が弾んだ。 人工関節をつけた患者の100人に1人程度という10年以内の再置換手術。 それが自分に必要になるとは、予想していなかった。 http://www.asahi.com/health/ikiru/TKY201008200187.htmlNo tags for this post.
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