日本一スケベな産婦人科医

[日本一スケベな産婦人科医]


事業仕分けで有名になった独立行政法人の「理化学研究所」で研究している
K君の話である。

高校の同級生のK君は1年生の時から「将来は産婦人科医になる。
それも、日本一スケベな産婦人科医になる!」が口癖だった。
「でも、医学部で勉強しているうちに、他の分野に興味を持つかもしれない
よね」と尋ねると、「俺は医者になりたいわけじゃない、産婦人科医
になりたいんだ」と答えた。
そして最後に「しかも日本一スケベな産婦人科医になるんだ。」と必ず追加
するのを忘れなかった。

体はデカい、声もデカい、そして頭が良いK君は余裕で医師になった。
世の女性陣の何人が犠牲になったのだろうかと心配していたところ、何年か
前にK君を見かけた。
日本遺伝学会の会場であった。
私は一聴衆、一ヤジ馬であったが、K君は壇上のシンポジストであった。

遺伝に関する学会はたくさん存在するが、大きいのは
  ・日本遺伝学会(会員1,100名)
  ・日本人類遺伝学会(会員2,650名)
である。
日本遺伝学会の方は、イネやショウジョウバエの研究発表の後にヒトの遺伝的
研究が発表されるなど多面的学会である。
一方、日本人類遺伝学会はより医学に直結した領域を研究発表する学会で
ある。

シンポジウムのシンポジストは大会主催者から依頼されるもので、中堅
以上の、研究者として認められた証である。

問題のK君の研究発表は精子の分化に関するもので、将来的には不妊治療に
活かされるかもしれないものであった。
「日本一スケベな」情熱が行き着いた先は生命の誕生の神秘なのかと感心
した。

後からわかったことであるが、K君は不妊の研究を専門に行っているのでは
なくて、細胞の分化について研究していて、その一部が細胞分化の象徴である
生殖細胞(精子や卵子)の研究だったのであった。

今やK君は理化学研究所のグループディレクターであり、大学院医学研究院の
教授であらせられる大先生である。
何はさておき、K君が研究に没頭している間は、世の女性陣の貞操が守られる
わけで喜ばしい限りである。




(横山歯科医院・横山哲郎)




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