妊娠前から葉酸をとろう・・・神経管閉鎖障害

[神経管閉鎖障害―妊娠前から葉酸をとろう
                  普段の食生活では不足するケースも]

(日経新聞     2010年3月30日)


20代という山田洋子さん(仮名)はまだ結婚していないが、いずれ近い将来、
子どもを持ちたいと考えている。
たまたま女性誌に「妊婦は葉酸を取ったほうがよい」と紹介されている記事を
読んだ。
でも、いったいいつからどのように摂取すればよいのかわからず、近くの
産婦人科に相談した。

一般的に妊婦は週数によって適正な栄養摂取の基準が示されている。
多くの栄養をバランスよく取るのがよいことはいうまでもない。


欧米では1990年代から、胎児の神経管閉鎖障害(無脳症、脳瘤、二分脊椎)
の原因としてビタミンB類の一種である葉酸の摂取量不足が指摘され、葉酸
投与により発生率を72%低下させることができると報告された。
以後、日々の葉酸摂取量を増やすことで神経管閉鎖障害の発生率を抑える
べきだとの報告が相次いだ。

女性向けに葉酸を含むサプリメントやシリアルが売り出されるようになった。
米国では1998年よりシリアルなど一般加工品に葉酸を添加することが義務
づけられている。


神経管閉鎖障害の頻度は人種や生活習慣によって違う。
白人に多く、アフリカ系アメリカ人やアジア人、日本人は比較的少ない。


重要なのは摂取する時期と量だ。
葉酸不足が原因の疾患は妊娠4週前後までに起こることが多い。

ということは、妊娠とわかってから摂取するのでは遅い。
妊娠1カ月以上前からの摂取が必要になる。
妊娠の可能性のある女性はあらかじめ日々食事で摂取量を維持するように
しよう。


葉酸は葉もの野菜や果物、豆類、レバーなどに多く含まれている。
しかし、普段の食生活によっては、十分に摂取することが難しい場合もある。
厚生労働省の推奨量は0.4ミリグラムで、各種サプリメントに含まれる量だ。


神経菅閉鎖障害児を出産した経験のある女性の場合は、4~5ミリグラムの
摂取が妥当だ。


神経菅閉鎖障害の原因はたくさんあり、出産した女性が自責の念を抱かない
ようにすることも大切だ。


山田さんは、将来に備え、葉酸を含め日常の食事についてバランスのよい栄養
摂取を心がけるつもりだ。



(田坂クリニック産婦人科・内科院長 田坂慶一)



http://www.nikkei.com/life/health/article/g=96958A90889DE2E6E4E6E5E2E5E2E0E7E2E1E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2;p=9694E0E4E3E0E0E2E2EBE1E2EBE5





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