栄養飢餓とオートファジー

[栄養飢餓]

(Wikipedia)


細胞が生命活動を行うためには、必要な遺伝子を発現させて、タンパク質
などの生体高分子を生合成する必要がある。

タンパク質はアミノ酸からなる高分子であり、細胞が生命活動を行うためには
その材料となる「必須アミノ酸」を、栄養源として細胞外から取り込む必要が
ある。

 ・栄養学の基礎に基づかないダイエット
 ・栄養不足や栄養失調
 ・栄養に無関心な食生活
 ・病気
などで個体が飢餓状態におかれて栄養が枯渇し、アミノ酸の供給が断たれる
ことは、細胞にとっては生死に関わる重大なダメージになりうる。


しかし、「オートファジー」が働くことによって、細胞は一時的にこの
ダメージを回避することが可能だと考えられている。

オートファジーが起きると、細胞内に常に存在しているタンパク質(ハウス
キーピングタンパク)の一部が分解されて、ペプチドやアミノ酸が生成され、
それが細胞の生命活動にとって、より重要性の高いタンパク質を合成する
材料に充てられると考えられている。

この機構は動物の個体レベルにおいても観察され、例えばマウスを一晩絶食
させることで、肝細胞でオートファジーが起きることが知られている。

ただし、オートファジーによる栄養飢餓の回避はあくまで一時的なもので
あり、飢餓状態が長く続いた場合には対処することができない。

この場合、オートファジーが過度に進行することで、細胞が自分自身を
「食べ尽くし」てしまい、細胞が死に至ると考えられている。


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<考察>

「自己免疫性肝疾患」というような病態が増えているそうである。

それらの症例を検討してみると、ほとんどの症例において栄養不足や栄養
失調が認められる。

「オートファジー」が原因ではないかと思えて仕方がない。


(横山歯科医院・横山哲郎)

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