ビタミンD濃度が低いと腫瘍壊死因子TNF-α産生が増大

[ビタミンD不足が喘息を悪化させる]

(HealthDay News 2010年1月28日)


ビタミンD濃度が低い喘息患者では、濃度の高い患者に比べて症状が悪化する
ことが、新しい研究によって示された。

ビタミンD濃度の高い喘息患者のほうが、低濃度患者よりも肺機能は高く、
治療に対する反応がよいという。

全米ユダヤヘルス(デンバー)肺・クリティカルケア科のE. Rand Sutherland
博士は「この知見は、低濃度のビタミンDが喘息の悪化に関連していることを
示唆している。また、ビタミンD濃度は患者のステロイド系喘息治療薬に
対する反応を予測する。ビタミンDは、喘息患者に直接的に関与する形で
免疫系あるいはステロイド反応を修飾する物質として作用すると思われる」と
述べている。


Sutherland 氏らは今回、喘息患者54例のビタミンD濃度を測定し、肺機能、
気道過敏性、ステロイド治療に対する反応を評価した。

その結果、血中ビタミンD濃度が低い患者では、肺機能および気道過敏性の
検査結果がより悪かった。

ビタミン濃度が30ng/ml未満の患者の気道過敏性は、それよりも高い患者の
ほぼ2倍であった。

ビタミンD濃度が低いと、ステロイド療法に対する反応が低く、炎症性
サイトカインである「TNF(腫瘍壊死因子)-α」産生が増大し、低濃度の
ビタミンDが気道の炎症増大と関係している可能性が考えられた。

また、最も体重の重い患者ではビタミンD濃度が最も低かった。

Sutherland 氏は「喘息は肥満に関連し、ビタミンDの欠乏はこの2つの病態に
関連する要因と思われる。喘息患者のビタミン濃度を正常に回復させることは
喘息改善に有用である可能性がある」と述べている。


研究結果は、医学誌「呼吸器・クリティカルケア医学」オンライン版に1月
28日掲載された。

米ボストン大学医学部の Michael F. Holick博士は「今回の研究は、
ビタミンDが肺機能を高めるという従来の観察結果を確認する非常に良い
研究である。グルコ(糖質)コルチコイド(ステロイド)はビタミンDの
破壊を増大させ、それによって喘息患者ではビタミン欠乏のリスクが高まり、
結果的に肺機能を低下させ、疾患を悪化させる」と述べるとともに、「喘息
患者に限らずビタミンDの摂取量が少なすぎるので、サプリメントを服用
すべきである」としている。



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